教室では、「話し言葉」を媒体として子どもたちに伝える営みが教育活動の中心にあります。
伝えるための「声」については、前回③で触れました。
伝えるためのもう一つの重要に要素が、「話し方」です。
「話し方」で特に身につけたいのが、「速さ」と「間(ま)」です。
伝えるための話し方の基本速度は、NHKのアナウンサーがニュースを読む速さを手本にするといいです。
民放のバラエティー番組に慣れてしまうと、アップテンポなやり取りが耳慣れた当たり前になっているかもしれません。しかし、テンポのいい喋りは往々にして素通りしてしまうものです。基本の速さとして、NHKアナのそれを体得しましょう。
基本が身につけば、緩急・抑揚・強弱など状況に応じて変化させればいいのです。
一つ大事なことをお伝えしておきましょう。
大事なことを話す時は、いつもより抑え気味の声で、いつもよりゆっくり目に話します。決して力んで大声を張り上げることのなきように、逆効果ですよ。
「間」を自在に操れる教師は、プロの業師と言えます。ときに「間」は言葉以上に多くを語り、効果的です。
私は、桂米朝さんの落語で「間」の重要さと効果を学びました。体で覚えなければ身につかないものですから、名人と言われる落語家さんの一席を繰り返し聞くことをお勧めします。
「間」にも種類があって、1拍の間を基本とすれば、0.5拍の間もあれば、2拍の間もあります。
たとえば、わずか0.5拍の間で、子どもたちが一斉に注目することもあります。大事なことを話す時に1拍の間をおいて、集中させることもあります。2拍の間でじっと我慢、子どもを待つこともあります。
授業の現場では、「何を(内容)」「どう(方法)」伝えるかは議論しても、伝える「声」や「話し方」を話題にすることはまずありません。ウォーミングアップの期間にこそ基礎づくりを…。