教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

「1ヶ月で勝負」したクラスの記録⑧

■「1ヶ月で勝負」したクラスの記録■その7

 

6年生のスタートから3ヶ月、1学期が終わる頃のクラスの記録です。

 

7月7日の修学旅行報告集会と8日の七夕集会で、わずかな光明が見えました。

 

「すてきな七夕の日になりました。『彦星』と『織姫』がともに輝いていました。それは一瞬の出来事ではありましたが、たしかに私たちのクラスは一つになっていました。やっぱり、歌声はクラスの姿を映す鏡です。
 覚えておいてください。精一杯取り組んだ者だけが味わえる、緊張感の向こうにある満足感というものを。SMさんのしっかりと前を見つめる姿はとてもかっこよかったです。わずかなミスなど、ましてや積極的に攻めていったミスなど、気にすることありません。
 2学期にもみんなに見てもらう機会があります。今度はもっと輝きたいものです。」
                        (『きらきら』№63 2005.7.8)

 

「7月8日は私たちのクラスの記念日になりました。一緒の気持ちで一つの時間を過ごすって、なんてステキなんでしょう。これは、『おてがみ』の世界だとぼくは思っています。ぼくは今、『かえるくん』と『ガマくん』のような幸せな気持ちに包まれています。
 7日の報告集会、8日のお楽しみ会が、このクラスの3か月の到達点です。」
                        (『きらきら』№65 2005.7.12)

 

「ぼくらのクラスのある変化について話しておきたい。今回のお楽しみ会は、プチ・スポーツ・ゲーム係という学級の係が担当した。KTさん、KBさん、SMさん、YUさんの4人だ。自分たちがゲームに参加できなくても、みんなが喜んでくれることを楽しみに一生懸命仕事をするというクラスの『文化』が育ってきた。そして、そのことを感じ取り、日記に書きとめる心も、クラスの『文化』として育ってきた。これはすごいことなんだ。
 ぼくらの1学期は、間もなく終わろうとしている。決して100点のクラスになったわけじゃない。『宿題』も一杯残している。でも、悲観することはない。9月になれば、今よりもっとステキな一歩が始まりそうな、そんな予感がしている。」
                        (『きらきら』№66 2005.7.12)

 

 

こうして1学期が終わりました。

子どもたちを覆っていた重苦しい空気は取り払われ、ときおり晴れ間も見えるようになってきました。しかしそれは、めざす頂の1合目から2合目あたりの歩みに過ぎません。

 

長い夏休みです。子どもと離れて過ごす時間は、冷静に振り返り、次に備える準備期間です。

集団づくりにゴールはありません。ゴールはAからZまであると言い換えてもいいでしょう。1学期の到達点が仮にCレベルだとして、それでよしとすることも可能です。クラスの雰囲気はいいし、子どもたちもそれなりに満足しているのですから。

しかし、Cレベルまでたどり着けばDをめざしたいと思うのが、教師の性(さが)です。

 

さて、どんな仕掛けを用意して、2学期を勝負するか。思案の刻がつづきます。

 

 

※2学期からの「ものがたり」は、「続・『1ヶ月で勝負』したクラスの記録 ~いのちかがやいて~」に連載します。