教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

多謝1000PV デジタル時代の教育実践記録

私は1978年に教師になりましたが、小欄に出てくる教育実践は、そのほとんどが2000年代になってからのものです。

理由はいたって明白です。20世紀の間の教育実践や実践記録は多くが紙媒体による保存なのに対して、21世紀になってからのものはほぼデジタルメモリーで保存されています。デジタル化されたものは、検索もコピペも加工も容易にできます。

 

教育現場のコンピューター化は、Windows3.1(1993年)もしくはWindows95(1995年)あたりが始まりです。

1980年代の前半にはDOSパソコンが市販されていて、私も持っていましたが、今のコンピューターとはデータの互換性がありません。その後、90年代にかけては、OASISや書院といったワープロが主流でした。フロッピーディスクに保存されたデータは、パソコンの変換ソフトを使えば今も活用することができます。ただし、データは「文書」に限られています。

当時の私のこだわりで、学級通信は手書きと決めていました。そのため、変換ソフトはあっても役に立ちません。

 

Windows3.1が出た1993年からWindowsXPが出た2001年までの9年間、私は学級からも授業からも離れていました。この間は記録すべき教育実践そのものがありません。

 

2002年に学校現場に戻ってみると、学級通信はパソコンで編集するのが当たり前になっていました。

2002年以降の記録はほとんどがパソコンデータで、手書きのものはほとんどありません。

 

そんなわけで、小欄に出てくる教育実践のほとんどが2000年代になってからのものなのです。

 

私はもはや現職ではありませんから、過去のデータを検索して活用するというのが専らです。しかしそれは、1年間のまとめをしたり、実践記録を書く際にも共通の作業です。

私はこれを書きながら、あらためて便利な時代になったなあと思います。

 

デジタルデータの扱いにおいては、いまどきの先生たちの方が私なんかよりはるかに達者だと思います。ですから敢えて書くこともないのですが…。

私のようなワープロ世代には、データ保存のフォルダを細分化しすぎる癖の人とデータを極力少なくする癖の人が多くいます。それは、ワープロ時代のフロッピーディスクの容量が小さかったこと、内容別にいくつものフロッピーディスクを持っていたことが「原点」になっています。

今やハードディスクは言うに及ばず、USBメモリもSDカードも大容量かつ安価な時代です。データ保存は、ワープロ時代の真逆がおすすめです。

 

データは片っ端から保存しましょう。文書ファイルも最終稿だけでなく、修正前の稿も残します。

紙媒体のデータは、とりあえず写真に撮って保存します。必要なときにOCRソフトで文字化すればいいのです。

さらに、手書きのデータも(子どもの作文や日記も含めて)とりあえず画像保存がお薦めです。最近の無料OCRアプリには手書き文字を変換して活字にしてくれるすぐれものがあります。ちなみに私はiOS用の「ClipOCR」という無料アプリを使っていますが、昔の変色しかけた手書きの学級通信原稿で試したところ、驚きの速さと正確さでデジタル化できました。その性能たるや、一昔前の活字対応の有料OCRソフトを超えています。まさに驚愕のイッピンです。

兎に角残しておくと、必要なときに引き出して活用できます。授業記録や実践まとめが省力化できる上に充実します。

 

データ保存のフォルダは少なくして、ファイル名を工夫するというのが私の保存法です。

私の場合、趣味の「写真」と「ホームページ」、「データ」「文書」の4つが普段使っているフォルダです。

「文書」フォルダの下には「2020」「2019」…の年別フォルダがあります。年別フォルダは3年以上前のものは外付けの保管用ハードディスクに移します。

「文書」-「2020」フォルダには2020年に作成した文書ファイルが保存されているわけですが、各ファイルには頭に「0826」のように4桁の数字を付しています。これは作成日が8月26日であることを表し、フォルダ内は作成日順にファイルが並びます。人間の記憶は日付を追っていくと辿りやすく、いくらファイル数が多くても探すのに困ることはまずありません。

なお、年度でフォルダを運用する際には、1月26日なら「2125」、2月26日なら「2226」、3月25日なら「2326」のように3学期分の最初の数字を「2」にします。そうすることでフォルダ内は4月1日(0401)に始まり翌年3月31日(2331)で終わるようにファイルが並びます。

 

これからのデジタル時代の教育実践記録に期待するのは、科学的に教育を語る作法の習得です。

もとより教育には数値化できない部分が多くありますが、だからといって「情緒的」な語り口だけでいいとは思いません。データ検索・データ抽出・データ比較・データのグラフ化などコンピューターの得意分野を活用すれば、教育活動に説得力を持たせる記録が容易に作成できるはずです。

たとえば、少し前の小稿で「しばてん」の読みについて、1回目の読みと2回目の読みを掲載した学級通信を紹介したことがあります。この学級通信のデータから特定の子どものものだけを抽出すれば、簡単に各個人の読みの深まりを検証することができます。授業が進行中であれば、進路変更することも可能になります。

 

兎にも角にも、まずはデータは片っ端からデジタル化して、とりあえず保存しましょう、というのが今回のシメです。

 

 

小欄の総閲覧数が1000を超えました。連日どなたかに読んでいただけるようになって、およそ4ヶ月。決して多いわけではありませんが、小学校教育という極めて限定的なテーマと読者対象のブログですので、スゴイ数字だと感じています。ご覧いただいた延べにして1000人の皆さんに厚くお礼申し上げます。そして、これからも細く長くお付き合いいただければ幸甚に存じます。

                             多謝  yosh-k