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教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

2020-12-17

公立小学校、全学年35人学級へ 前進!今頃?

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教育界にとって久しぶりに大きなニュースが飛び込んできました。

 

 

公立小学校、全学年35人学級へ 

40年ぶり見直し 17日合意へ

12/16(水) 19:32配信

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毎日新聞

学校(写真はイメージ)=ゲッティ

 現在は40人(小学1年は35人)と定められている公立小中学校の学級基準について、政府は小学校に限り、全学年を来年度から5年かけて段階的に35人まで引き下げる方針を固めた。複数の政府関係者が明らかにした。17日に麻生太郎財務相と萩生田光一文部科学相が直接協議して合意する見通しだ。

 小学校の学級基準の一律引き下げが決まれば約40年ぶり。文科省は来年度の予算編成で小中学校の学級基準を一律で30人まで引き下げることを求めていたが、効果を疑問視する財務省は譲らず、小学校に限った「35人学級」の実現で折り合った。学級基準を定めた義務標準法の改正案を年明けの通常国会に提出するものとみられる。

 公立小中学校の教員の配置には、学級数や児童生徒数に応じて決まる「基礎定数」と、習熟度別指導や複数の教員で教える「チームティーチング」など特定の目的で追加配置(加配)する「加配定数」がある。

 学級基準が引き下げられれば学級数が増え教員増が必要になるが、今回は、加配定数の一部を基礎定数に振り替えることによって補い、「35人学級」を実現する方向で調整しているという。

 少人数学級の導入論が浮上したのは、新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけ。今春、長いところで約3カ月間の休校を余儀なくされたことを受け、身体的距離を取りながら子どもたちが安心して学べる環境を整えるべきだとの声が与野党や地方自治体から上がった。

 こうした流れもあり、政府が7月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」には「少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備」が明記された。文科省は来年度予算の概算要求に、必要額を示さない「事項要求」として盛り込み、財務省との間で折衝が進められていた。

 公立小中学校の学級基準は1958年の義務標準法の制定時は「50人」だったが、64~68年度の5年間で「45人」、80~91年度の12年間で「40人」に引き下げられた。しかし、その後は少人数化の議論が停滞し、2011年度に小1の35人学級が実現しただけにとどまっていた。【大久保昂】

  

 

 朝日新聞デジタル

公立小の1学級35人以下に 

来年度にも、政府最終調整

伊藤和行

2020年12月16日 21時33分
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写真・図版文部科学省=東京・霞が関

 

 政府は、公立小学校の1クラスの上限人数を現行の40人(1年生は35人)から35人に段階的に引き下げる方向で最終調整に入った。2025年度までに小学校の全学年で35人学級の実現を目指す。萩生田光一文部科学相と麻生太郎財務相が17日に協議し、年明けの通常国会での法改正を目指す。

 学級編成は、2011年度に小学1年生だけ35人以下となった。萩生田氏は来年度予算編成にあたり、新型コロナウイルスへの感染対策や、今年度中に小中学生に1人1台のパソコンやタブレット端末が配備される見込みであることから、小中学校の30人学級を求めていたが、財務省は強硬に反対。小学校に限って35人学級を実現する方向で調整している。

 政府・与党関係者によると、来年度は小学2年生の学級編成を35人に引き下げ、その後、毎年1学年ずつ段階的に引き下げる方向だという。(伊藤和行)

 

報道によれば、来年度(2021年度)から5年計画で、小学校2年生から順次6年生までの全学年で35人学級を実現するということです。来年度の予算編成が最終段階に入っているこの段階での報道ですから、ほぼその方向で進むのでしょう。

 

35人学級が実現すれば、毎日新聞が伝えるように1991年度に40人学級が完了して以来の大改革です。教育界にとって前進であることは確かです。

 

しかし、それにしてもいつものことながら財務省は後ろ向きです。

今回の場合、予算編成が始まる時点の文部科学省の要求は、公立小中学校の全学年で30人学級を実現することでした。至極当然の要求だと思います。

それが財務省によって30人が35人にされ、小中学校が小学校のみにされました。

財務省の「後ろ向き」姿勢は、表向きは支出抑制のためです。わが国の財政状況を考えると、それも必要なことです。

 

日本の国家予算は100兆円です。補正予算を含めるとさらに膨らみます。

借金まみれではあっても、支出する金がないわけではありません。要は何に金を使うかという問題です。それは、言い方を変えると何をだいじにするかという問題です。角度を変えると、何を二の次の問題にするかという読み取り方もできます。

財務官僚にとって、教育は二の次の問題なのでしょう。(この段階までの政権の関与の度合いについては、私たちには知るよしもありません)

 

財務官僚は、官僚の中の官僚と言われるエリート集団です。間違いなく受験学力の高い人たちです。そんな人たちが学校教育に多くを期待しないのも当然かも知れません。

 

1年生で35人学級を実現する前年、2010年に文科省が作成した資料があります。 

f:id:yosh-k:20201217095915j:plain

 拡大します。

f:id:yosh-k:20201217100246j:plain

f:id:yosh-k:20201217100257j:plain

 

教育改革に積極的とは言い難い文科省が10年も前に作った資料を見ても、「小学校と中学校の全学年で30人学級」というのが実現すべき最低ラインでしょう。教育現場も保護者も、それを望んでいるのです。

 

文科省と財務省の妥協の産物として、「小学校の全学年で35人学級」が実現に向けて動きだしました。

日本が30人学級に動きだす頃、たとえばイギリスは20人学級になっているに違いありません。

今回の報道は、大きな改革に向けた最初の小さな一歩。教育現場も保護者も、そして私のような応援団も、事実と実態に根ざした生の声を発し続けなければなりません。

yosh-k 2020-12-17 10:29

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