教育界にとって久しぶりに大きなニュースが飛び込んできました。
公立小学校、全学年35人学級へ
40年ぶり見直し 17日合意へ
朝日新聞デジタル
政府は、公立小学校の1クラスの上限人数を現行の40人(1年生は35人)から35人に段階的に引き下げる方向で最終調整に入った。2025年度までに小学校の全学年で35人学級の実現を目指す。萩生田光一文部科学相と麻生太郎財務相が17日に協議し、年明けの通常国会での法改正を目指す。
学級編成は、2011年度に小学1年生だけ35人以下となった。萩生田氏は来年度予算編成にあたり、新型コロナウイルスへの感染対策や、今年度中に小中学生に1人1台のパソコンやタブレット端末が配備される見込みであることから、小中学校の30人学級を求めていたが、財務省は強硬に反対。小学校に限って35人学級を実現する方向で調整している。
政府・与党関係者によると、来年度は小学2年生の学級編成を35人に引き下げ、その後、毎年1学年ずつ段階的に引き下げる方向だという。(伊藤和行)
報道によれば、来年度(2021年度)から5年計画で、小学校2年生から順次6年生までの全学年で35人学級を実現するということです。来年度の予算編成が最終段階に入っているこの段階での報道ですから、ほぼその方向で進むのでしょう。
35人学級が実現すれば、毎日新聞が伝えるように1991年度に40人学級が完了して以来の大改革です。教育界にとって前進であることは確かです。
しかし、それにしてもいつものことながら財務省は後ろ向きです。
今回の場合、予算編成が始まる時点の文部科学省の要求は、公立小中学校の全学年で30人学級を実現することでした。至極当然の要求だと思います。
それが財務省によって30人が35人にされ、小中学校が小学校のみにされました。
財務省の「後ろ向き」姿勢は、表向きは支出抑制のためです。わが国の財政状況を考えると、それも必要なことです。
日本の国家予算は100兆円です。補正予算を含めるとさらに膨らみます。
借金まみれではあっても、支出する金がないわけではありません。要は何に金を使うかという問題です。それは、言い方を変えると何をだいじにするかという問題です。角度を変えると、何を二の次の問題にするかという読み取り方もできます。
財務官僚にとって、教育は二の次の問題なのでしょう。(この段階までの政権の関与の度合いについては、私たちには知るよしもありません)
財務官僚は、官僚の中の官僚と言われるエリート集団です。間違いなく受験学力の高い人たちです。そんな人たちが学校教育に多くを期待しないのも当然かも知れません。
1年生で35人学級を実現する前年、2010年に文科省が作成した資料があります。
拡大します。
教育改革に積極的とは言い難い文科省が10年も前に作った資料を見ても、「小学校と中学校の全学年で30人学級」というのが実現すべき最低ラインでしょう。教育現場も保護者も、それを望んでいるのです。
文科省と財務省の妥協の産物として、「小学校の全学年で35人学級」が実現に向けて動きだしました。
日本が30人学級に動きだす頃、たとえばイギリスは20人学級になっているに違いありません。
今回の報道は、大きな改革に向けた最初の小さな一歩。教育現場も保護者も、そして私のような応援団も、事実と実態に根ざした生の声を発し続けなければなりません。