教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

「個別最適化された学び」を考える①

GIGAスクール構想について語られる文脈で、「個別最適化された学び」という言葉をよく耳にします。

今回は、「個別最適化された学び」について考えます。

 

 

「個別最適化された学び」という表現が公になったのは、2019年6月25日のことです。

この日、文部科学省から「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」が発表されました。

「最終まとめ」の「本体」はA4で37ページあるのですが、同時に「概要」が出されています。一部を紹介します。

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図の中段に赤太字で「誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学び」と出てきます。

このフレーズが、「新時代における先端技術を効果的に活用した学びの在り方」のキモになります。

 

言葉を丁寧に吟味します。

 

誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学び

誰一人取り残すことのない」は、図の上右、「子供たちの多様化」という背景を受けた言葉です。

具体的には、

・他の子供たちとの学習が困難

・ASD、LDなどの発達障害

・日本語指導が必要

・特異な才能を持つ  など

が想定されています。

 

誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学び

公正に個別最適化された学び」は、具体的には赤文字のすぐ下にある「ICT 環境を基盤とした先端技術や教育ビッグデータの効果的な活用」を指します。

 

ICT 環境を基盤とした先端技術や教育ビッグデータの効果的な活用」とはどういうことかと言いますと…

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ICT 環境を基盤とした先端技術や教育ビッグデータの効果的な活用」には大きく4つの意義があって、その1つが「個別に最適で効果的な学びや支援」です。

上の図の該当部分(右上)を拡大します。

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個別に最適で効果的な学びや支援」には、3つのことがらが書かれています。

○個々の子供の状況を客観的・継続的に把握(センシング技術)

○知識・技能の定着を助ける個別最適化(AI)ドリル

○意見・回答の即時共有を通じた効果的な協働学習

 

つまり、これが「誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学び」の最も中心になる部分です。

しかし、ここまでのはなしで「そういうことなのか」と思える人はそう多くはないと思います。次回、そのあたりを深掘りします。