教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

日本語探訪(その6) 慣用句「足が出る」

小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第1回は「足が出る」です。

教科書に取り上げられた「足」のつく慣用句はこれ1つです。

 

 

足が出る

 

「足が出る」の読み方

あしがでる

 

「足が出る」の意味

①隠したことがあらわれる。
②出費が予算を超過する。相場などで損が出る。「足を出す」とも。(広辞苑

 

「足が出る」の使い方

 「言葉の手帳」に掲載されている例文です。

例文1. 彼がバレないように隠していたことを親しい友人にSNSでさらされてしまい、足が出る。


例文2. 足が出ないように家計簿をつけていたのに急な出費も相まって赤字になってしまった。


例文3. 彼女は表向きにはとても愛想がよく、足が出ないために問題を起こすことが少ない。


例文4. 欲しいものを我慢できずに買ってしまい、足が出てしまった。


例文5. 足が出るようなお金の使い方をする彼女はいつもお金を人から借りているように思える。

 

「足が出る」の語源・由来

「足が出る」の語源は、いくつかの説があるようです。

「①隠したことがあらわれる。」(広辞苑)につながるもの

芝居で馬が出てくる場面では、人がかぶり物をして馬を演じます。これが「馬脚」です。

この馬脚が何かの拍子にうっかりと自分の姿を見せてしまうことから、「隠しごとが現れる。ぼろがでる」ことを「足が出る」というようになったという説です。

「馬脚を現す」ともいいます。

「②出費が予算を超過する。」(広辞苑)につながるもの

「予算オーバー」の意味での「足が出る」には2説あります。

1つは、

「金は天下の回りもの」といわれるように、お金は世の中を巡るというところから「お足」とも呼ばれます。そこから、「足が出る」はお金が出る、使いすぎてしまうのような意味に発展 という説です。

もう1つは、

仕立て屋に頼んだ着物の寸法があっていなくて寸足らずで足が出たというところから、予算内ではちゃんとしたものを作ることができないという意味で 使われるようになったという説です。

 

「足が出る」の蘊蓄

身体の部分が出てくる慣用句は多くありますが、「足」の慣用句も相当数あります。

足が奪われる
足が重い
足が地に付かない
足が付く
足が出る
足が遠のく
足が早い
足が棒になる
足が向く
足蹴にする
足に任せる
足場を固める
足元から鳥が立つ
足元を見る
足を洗う
足を掬う
足を取られる
足を引っ張る
足を踏み入れる
足を棒にする
足を向けて寝られない
足が乱れる
足をすくう
足を空
足を出す
足を使う
足を抜く
足を伸ばす
足を向ける
足下から鳥が立つ
足下に付け込む
足下に火がつく
足下にも及ばない
足下の明るいうち
足下へも寄りつけない
足下を見る
手足を伸ばす
揚げ足を取る
後足で砂をかける
烏の足跡
浮き足立つ
二の足を踏む