教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

日本語探訪(その10) 故事成語「蛍雪の功」

小学校3・4年生の教科書に登場する故事成語の第4回は「蛍雪の功」です。

 

 

蛍雪の功

 

「蛍雪の功」の読み方

けいせつのこう 

 

「蛍雪の功」の意味

苦学した成果(広辞苑

 

「蛍雪の功」の使い方

蛍雪の功を積む

ついに多年蛍雪の功が現われて一片の卒業証書を懐いだき(二葉亭四迷浮雲』)

 

「蛍雪の功」の語源・由来

「蛍雪」は「並並ならぬ苦労をして学問に励むこと」、「功」は「努力を尽くしたことで成し遂げた成果」を意味します。

 

「蛍雪」の出典は、『晋書』(しんじょ)です。

「夏月則練嚢盛数十蛍火、以照書、以夜継日」

晋の車胤(しゃいん)は、家が貧しく灯油が買えなかったので蛍を数十匹集め、その光で勉強をした。

 「康家貧無油、常映雪読書」

また、孫康(そんこう)も家が貧しく灯油が買えず、窓辺に雪を集めて、その明かりで書物を読んだ。

こうした努力の結果、後にこの二人とも出世したという故事に由来します。

 

「蛍雪の功」の蘊蓄

卒業式でよく歌われてきた曲に「蛍の光」があります。

蛍の光 窓の雪 ……」という歌詞は、まさに「蛍雪」の故事にちなんでいます。

そう言えば高校生のころ『螢雪時代』という旺文社の雑誌があったなと調べてみたら、今なお発行されていました。「並並ならぬ苦労をして学問に励」んでいたんですね。

 

「蛍雪の功」の類語

「蛍窓」(けいそう)

「蛍窓雪案」(けいそうせつあん)

「雪案蛍窓」(せつあんけいそう)

「雪窓蛍机」(せきそうけいき)

「車胤聚蛍」(しゃいんしゅうけい)…車胤のエピソードに由来

「孫康映雪」(そんこうえいせつ)…孫康のエピソードに由来