教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

日本語探訪(その23) 故事成語「助長」

小学校3・4年生の教科書に登場する故事成語の第7回は「助長」です。

 

 

助長

 

「助長」の読み方

 じょちょう

 

「助長」の意味

①急速に成長させようとして、無理に力を添えかえってこれを害すること。結果として、よくないことをさらに著しくしてしまうこと。「弊害を―する」

②物事の成長・発展のために外から力を添えること。

広辞苑

 

「助長」の使い方

国際交流を助長する

差別を助長する

 

「助長」の語源・由来

「助長」の出典は、 『孟子』の「公孫丑(こうそんちゅう)・上」です。

 

宋人有閔其苗之不長而揠之者。
芒芒然帰、謂其人曰、
「今日病矣。予。」
其子趨而往視之、苗則槁矣。
天下之不助苗長者、寡矣。

 

(書き下し文)

宋人に其の苗の長ぜざるを閔(うれ)へて之を揠(ぬ)く者有り。
茫茫然として帰り、其の人に謂ひて曰はく、
「今日病(つか)れたり。予苗をけてぜしむ。」と。
其の子趨(はし)りて往きて之を視れば、苗は則ち槁(か)れたり。
天下の苗を助けて長ぜしめざる者、寡なし。

 

(口語訳)

宋の国の人で畑の苗が成長しないのを心配してこれを上に引っ張る者がいました。
疲れでボーっとなって家に帰り、家の人にこう言いました。
「疲れた。苗を引っ張って成長を助けてやったんだ
その人の子供が走って苗を見に行くと、苗は枯れてしまっていました。
世のなかにはこのように無理に引っ張って成長させようとする者が多いことだ。

 

「助長」の蘊蓄

「助長」の四字熟語

助長抜苗(じょちょうばつびょう)
孟子』「公孫丑」由来の四字熟語です。「長ずるを助けんとして苗を抜く」と訓読みします。