小学校のうちに知っておきたい故事成語の第32回は「金科玉条」です。
「金科玉条」の読み方
きんかぎょくじょう
「金科玉条」の意味
最も大切にして守らなければならない重要な法律または規則。(広辞苑)
「金科玉条」の使い方
その著書中の一節、その演説中の一言は、ほとんどキリスト教徒がバイブルを引照するが如く、共産党員によって金科玉条の如く引用せられている。(荒畑寒村『ロシアに入る』1924年)
「金科玉条」の語源・由来
「金科玉条」の出典は、『文選(もんぜん)』に収録されている揚雄(ようゆう)の「劇秦美新(げきしんびしん)」です。
前漢末、王莽(おうもう)が新王朝を建国したとき、前漢の官吏であり、学者だった揚雄(ようゆう)が『劇秦美新』の中で秦の国策を批判し、新王朝を褒めたたえて言った。
「(新では)失われた殷、周の偉業を受け継ぎ、絶えてしまった堯(ぎょう)、舜(しゅん)の遺風を継承し、立派な制度、良き計らい、重要な法律(金科玉条)があり、優れた占いが行われ、昔の典籍がすべて世に現われて、光り輝き、もれなく行き渡っている。」
「金科玉条」の出てくる一節
懿律嘉量、
金科玉條、
神卦靈兆、
古文畢發、
煥炳照曜、
靡不宣臻。
【読み下し文】
懿律嘉量(いりつかりょう)、
金科玉条(きんかぎょくじょう)、
神卦靈兆(しんかれいちょう)、
古文(こぶん)畢(ことごと)く發(はっ)し、
煥炳照曜(かんぺいしょうよう)、
宣(あまね)く臻(いた)らざるは靡(な)し。
【現代語訳】
立派な定め、
良き法令、守るべき法律、
靈妙なる卜噬(ボクゼイ)を世に行ない、
いにしえの文書のすべてが世に示され、
あかあかと照り輝いて
天下のすみずみにまで遍(あまね)く行き届いたのであります。
「金科玉条」の蘊蓄
「金科玉条」の類義語
金科玉律(きんかぎょくりつ)
金律金科(きんりつきんか)
※いずれも「金」「玉」は美称で、貴重なもの・大切なもののたとえ。「科」「条」「律」は、法律やきまりなどの条文の意。