教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

きょうは何の日 7月31日

蓄音機の日

 

蓄音機の日は、1877年7月31日にトーマス・エジソンが蓄音機の特許を取得したことに由来します。

 

Wikipedia」によると、

蓄音機(ちくおんき、アメリカ英語: Phonograph、イギリス英語: Gramophone)は、言葉の意味は録音機のことであるが、こんにちの用語としては、蝋管などによるエジソンらの装置から、エレクトロニクス時代以前あたりまでのレコードプレーヤーを総称して、日本では蓄音機と呼んでいる。

とのこと。

 

エジソンが特許を取得した蝋管(ろうかん)式蓄音機については、次のように紹介されています。

エジソンの蓄音機


1877年12月6日、音楽を生ではなく録音再生する製品として最初に登場したのがエジソン[1]の蓄音機で、円柱の蝋管に音を深さで刻む蝋管式蓄音機で、音を出すには音の溝を針でなぞってそのまま機械的に振動板へ振動を伝える構造で、振動板の中心点に接着してある紐が引っ張って振動を伝える仕組みになっている。具体的にはとても複雑な仕組みで、角度や長さ等が厳密に設計されていて大変精巧な作りになっている。 この音を出すパーツをサウンドボックス、あるいはレプロデューサーといい、今でいえばスピーカーに相当するパーツで、振動板は現在のスピーカーの振動板が平行往復運動するのと違い、振動板の中央の点で駆動される為、振動板は撓み運動で音を出している。この振動板の中央を点で駆動する仕組みはマグネチックスピーカーも同じで、戦後のダイナミックスピーカーが出るまで続いた。

因みに、この発明を発表する際にエジソンは「ものを言う機械」と説明している。

蝋管式蓄音機の2号機と写るエジソン1878年4月)

 

「株式会社ティ・アンド・シー・テクニカル」のHPに、「100年以上昔のエジソン蓄音機で録音してみました」という記事があります。引用して紹介します。

100年以上昔のエジソン蓄音機で録音してみました 

 

さて、エジソン蓄音機は部品の簡単な交換だけで録音が可能な機構を備えているモデルのトライアンフが有りましたので今でも100年以上前の蝋管に録音が再現できるかを試します。

まず、録音するには何が必要かを調べてみました。
1. 録音が可能なエジソン蓄音機(ここではモデル:トライアンフを使用)
2. 録音用レプロデューサー(音溝を刻む針が付いた振動板です)
3. 録音用蝋管(すでに録音済みでも表面を研磨して5~7回ほど使えます)

録音用レプロデューサー

録音用蝋管

録音用の蝋管は再生専用蝋管と同寸法ではありますが音溝が刻めるように材質が多少やわらかい茶色の録音用蝋管で表面がツルツルしたきれいな表面の蝋管ですが、面が荒れた蝋管や一度使った録音済みの蝋管を再使用する場合にシェーバーと呼ばれるカッターで表面を研磨します。

実際に録音する場合は再生専用のレプロデューサーを録音用レプロデューサーと交換し、録音用蝋管を本体にセットします。

録音は音の有無に関わらず一定の間隔でギアの送り機構により左から右方向へ少しずつ移動しながら蝋管の円周上に音溝を刻むので一発勝負でとなり途中でのやり直しが出来ません。

でも、失敗した場合はもう一度蝋管の表面を薄く削り元のツルツル状態にすればまた使うことが出来ますので再度最初から録音できますが、何度も繰り返し研削すると肉厚がどんどん薄くなりますので削るのも5回から7回程度が限界でしょう。

研削は蝋管表面を削る「シェーバー」と呼ばれる研削機構が付いた蓄音機または専用機を用いて蝋管の表面を研削しますが削る深さなどは人間が調整しますので蝋管を何度も使おうとすればすでに録音した溝の深さぎりぎりで研削する必要が有りますので研削には人間の感と手先の器用さが要求される部分です。

研削機構

録音は蓄音機のスタートと同時に通常は音が出るラッパと呼ばれる拡声器に顔を突っ込み思いっきり大声でセリフを叫びますと音声がラッパの中を伝わり直接振動板を震わせ、振動板についている針が蝋管の表面に振動を刻んで音声が記録されます。

勿論、100年前も同じように超大型のラッパの前にて大声で歌ったり楽器演奏を直接蝋管に記録していました。(マイクや増幅器などが存在しませんから当然ですが)

録音風景

録音時間は2分間ですが、口述では大声を張り上げるので2分は思ったよりくたびれますが2分以内であればどんなに短くても問題は有りません。

録音が終わると早速レプロデューサーと呼ばれる部分を再生用に交換して先程録音した蝋管の左端からトレースしますと・・・・・思ったより音が小さいのですが確かに録音した音声が再生されました。

音が小さいのは100年前の蝋管の蝋が硬化して音溝の刻みが十分にされていないかレプロデューサーのカッターが摩耗しているのではないかと推測されます。 いずれにしましてもなんとか100年以上前のエジソン蓄音機で録音そして再生が無事できました。

                            平成28年8月10日

                               中鉢 博

 

 

ちなみに、エジソンの蓄音機で最初に録音されたのは「メリーさんの羊」だったそうです。