教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

説明文を読む(15)2年「たんぽぽのちえ」

2年「たんぽぽのちえ」(光村図書)

 

「たんぽぽのちえ」は、「じゅんじょに 気を つけて 読もう」という単元に配置された教材です。

 

学習指導要領で本単元の位置を確認します。

〔知識及び技能〕
(2)ア 順序など情報と情報との関係について理解することができる

〔思考力,判断力,表現力等〕

C⑴ア 時間的な順序などを考えながら,内容の大体を捉えることができる

 

光村図書のHPにある資料より、単元の指導例を引用します。

 

順序」が、ここでの重点指導内容です。

 

授業は楽しくなければなりません。(「楽しい」というのは知的好奇心を満たしてくれるワクワクがあるということです。俗に言う「おもしろい」とはちょっと、しかし本質的に、違います。)そして、学年が低いほど、具体物をもって視覚に訴えることが有用です。

yosh-k.hatenablog.com

 

 

「たんぽぽのちえ」は、説明的文章の基本型である「三段構成」のかたちをとっていません。

①から⑨段落が「三段構成」の〈なか〉に該当し、⑩段落が〈おわり〉でまとめが書かれています。

 

⑩このように、たんぽぽは、いろいろなちえをはたらかせています。そうして、あちらこちらにたねをちらして、あたらしいなかまをふやしていくのです。

 

まず、⑩段落で「要旨」(2年生ではこんな言葉は使いませんが)をおさえます。

そして、「いろいろなちえ」を見つけます。(私は、子どもの「発見」にまかせて、バラバラにでてくるほうがいいと思います。)

 

教材文のあとに「がくしゅう」ページがあります。

とてもよくできた「指導書」です。

これが、一連の授業の完成形です。

 

何種類かの掲示用カードを作成します。

《A》絵カード。これは教科書の挿絵を拡大コピーしたものが6枚です。

《B》「ちえ」カード。6枚。文字は黒色で書きます。

「たんぽぽの黄色いきれいな花がさきます。」
「花のじくは、ぐったりとじめんにたおれてしまいます。」

「花はすっかりかれて、そのあとに、白いわた毛ができてきます。」

「それまでたおれていた花のじくが、またおき上がります。」

「わた毛のらっかさんは、いっぱいにひらいて、とおくまでとんでいきます。」

「わた毛のらっかさんは、すぼんでしまいます。」

《C》順序カード。6枚。文字は赤や青など、黒以外の色で書きます。

「春になると、」

「二、三日たつと、」

「やがて」

「このころになると、」

「よく晴れて、風のある日には、」

「しめり気の多い日や、雨ふりの日には、」

《D》番号カード。①②③④⑤⑥の6枚。

 

「ちえ」を見つける段階では、《A》《B》のカードを使います。《C》カードは「ちえ」の文の一部として扱います。

子どもたちが見つけたら、教科書に黒で傍線を引くように指示します。のちほど、「順序」部分はカードに使ったのと同じ色で囲ませます。

 

「順序」の指導は、遊びを通して行います。(一応、「私だったら、…。」という但し書きを付けておきます。)

「遊び1」

最上段に《D》番号カードを貼ります。《C》カードを上段に、《A》カードを下段に貼ります。

「遊び1-1」

《A》カードは順番通り、《C》カードは順番を入れ替えて貼る。これを正しい順番になおしていきます。

「遊び1-2」

《C》カードは順番通り、《A》カードは順番を入れ替えて貼る。これを正しい順番になおしていきます。

 

「遊び2」

最上段に《D》番号カードを貼ります。《C》カードを上段に、《B》カードを下段に貼ります。

「遊び2-1」

《B》カードは順番通り、《C》カードは順番を入れ替えて貼る。これを正しい順番になおしていきます。

「遊び2-2」

《C》カードは順番通り、《B》カードは順番を入れ替えて貼る。これを正しい順番になおしていきます。

 

「遊び3」

「遊び1」「遊び2」のミックス。つまりこれが「がくしゅう」の示唆するところ。