教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

退職後を生きる(その10) コーヒーを淹れる

コーヒーを淹れる

 

朝のコーヒーは、40年以上変わることなくコーヒーメーカーを使っています。それも決まってU社のコーヒー粉です。こつこつポイントを集めて、ついにコーヒーメーカーそのものを貰ってしまいました。

 

退職したら、ハンドドリップでコーヒーを淹れたいと、ずっと思っていました。

 

Kalita(カリタ)のドリッパーとコーヒーサーバーとドリップポットを買いそろえ、コーヒー粉もちょっといいのを買ってきました。

おいしいコーヒーの淹れ方は、ネット上にあふれています。それらを参考に、

沸騰したお湯をドリップポットで85°くらいまで冷まして、

コーヒー粉に20mlほど注いで30秒間蒸らし、

あとは2、3回に分けてお湯を回し入れる。

とまあ、「教科書」どおりにやってみました。

 

期待したほどおいしくありません。

茶店のコーヒーの香りがしません。

それになによりも、できあがったコーヒーが冷めてしまっています。

 

BONMAC (ボンマック)の コーヒーウォーマー(電熱器です)を買って、とりあえず冷めないようにしました。

コーヒー店のコーヒー粉を使うようになってから、味も良くなってきました。慣れもあるのでしょう。

 

転機が訪れます。

 

息子から電動コーヒーミルをプレゼントされました。

手動のミルは40年以上前から持っていましたが、あまり使っていませんでした。その点、電動式は楽で便利です。

その機に、コーヒー店のコーヒー粉はコーヒー豆に変わりました。

 

しばらくして、HARIO(ハリオ)の1つ穴ドリッパー「V60」と円錐形ペーパーフィルターに出会います。ネット上の評価につられて試してみることにしました。

1.【円すい形】 お湯が中心に向かって流れることでコーヒー粉に長く触れ、コーヒー粉の成分をしっかり抽出。
2.【スパイラルリブ】 高いリブが「蒸らし」の際の珈琲粉の膨らみを妨げない。
3.【大きな一つ穴】 お湯を注ぐスピードでお好みの味に調整可能。

実にスッキリとした味わいで、私好みです。

以後、わが家のハンドドリップは完全にハリオに移行しました。

 

おもしろい息子で、次の年の父の日だったかに「焙煎器」をくれました。

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発明工房の「煎り上手」という手動式コーヒー豆焙煎器です(Amazonで6190円で売っています)。

ご家庭で簡単にコーヒー豆の焙煎ができ、自分好みの煎りたてコーヒーを楽しめます。

【特長】
・お好みの煎り加減でコーヒーをお楽しみいただけます。
・煎りムラが出ない特別な設計です。
・重さ240gで女性の方にも使いやすい軽さです。

【使用方法】
(1)コーヒー生豆適量(1人分約10g)を入れます。(最大5~6人分が目安)
(2)ガスにかけ手首のスナップをきかせて左右に振ります。
(3)豆の色がこんがり薄茶色からだんだん色づいてきます。
(4)パチパチハゼ音がしてきたら火から遠ざけ余熱で仕上げます。
(5)ザルなどにあけ冷まします。

Amazonのレビューです。

この焙煎器を上手く使うコツは、焙煎時の音を聞き分ける事です。煎り方は、ガスコンロの火の最上位から1cm 程離して本体を振ります。次第に豆の色が緑から薄茶、茶褐色になり、パンパンと皮が弾ける音がします。

中の豆全体が弾けた後、今度は白煙と共にジリジリと豆から油が染み出て焼かれる音がします。ジリジリと音が変化したら火を止めて振り続け、中煎りなら5~7秒、深煎りなら10~12秒程で素早く容器に空けます。

以上の事を頭に入れれば、どなたでも簡単に焙煎出来ます。ここまでの作業で約10分程です。後は皮を落とすのですが、私は天ぷら用油切りざる(エポラス TM - 02)を使っています。網目が皮を落とすのに丁度良い大きさです。1、100円程で amazon で購入出来るので、皆さんも是非使ってみて下さい。私の使い方は、左手でざるを振りながら右手で団扇を仰いで豆を冷却しています。最後に味・香りをを深める為、蓋付のガラス容器で2・3日程寝かせます。自分で焙煎した豆の味は、新鮮で格別ですよ。この焙煎器でコーヒー本来の味を楽しみましょう!

要するに、焙煎前の「生豆(きまめ)」を手振りで煎るのです。ガスコンロの火にかざしながら、10分以上もひたすら左右に振り続けるのです。

 

こんな面倒なことを本人の意向も聞かずに押し付けてくるヤツの気が知れません。が、ハマりやすく没頭する性癖を見抜かれているのかもしれません。

案の定、ハマりました。

 

「生豆」なんか見たこともありませんでしたが、ネットで簡単に注文できることが分かりました。

最初は1kg1000円程度のブラジル産の豆を購入しました。

焙煎前の生豆は、淡い緑色を帯びています。茶色のイメージしかありませんでしたから、とても新鮮に感じます。

生豆を購入すると、まず、虫食いやカビ豆などの欠点豆を取り除くハンドピックという作業を行います。100gあたり100個以上の欠点豆が出ることは珍しくありません。

ハンドピックが終わると、焙煎です。

前記の要領で60gの豆を煎り、ザルに移して団扇であおいで皮を飛ばしながら冷まします。

 

焙煎に慣れてくると、かなり満足度の高いコーヒーになってきます。

今も同じ焙煎器を使っていますが、推奨目安60gの1.5倍の90gを1度に煎ります。重さは増しますが、煎り具合には影響なさそうです。これを1回につき4度行い、360gの豆を煎っています。

使っている豆は、グアテマラ産とタンザニア産の豆が中心です。同じ生産国であっても産地や農場の違いで、手に入る豆は異なります。自然の産物ですので、その年によっても異なります。

1kg2000円程度のグアテマラ産とタンザニア産の豆の場合、欠点豆が100gあたり10~20個程度のものもあり、ハンドピックをしなくても気になりません。

 

コーヒー豆の焙煎の蘊蓄です。

コーヒー豆の焙煎(ロースト)の度合いは、大きく分けると「浅煎り」「中煎り」「深煎り」の3段階ですが、さらに細分化した“8段階”の焙煎度合いが基本となります。

豆の銘柄や品種などによって多少の違いはありますが、一般的に「浅煎り」であるほどコーヒーの味は酸味が強く、「深煎り」であるほど苦味が強くなります。

焙煎の基本8段階
1、ライトロースト(Light roast)
2、シナモンロースト(Cinnamon roast)
3、ミディアムロースト(Medium roast)
4、ハイロースト(High roast)
5、シティロースト(City roast)
6、フルシティロースト(Fullcity roast)
7、フレンチロースト(French roast)
8、イタリアンロースト(Italian roast)

一般に市販されている豆は、アメリカンコーヒー用に多い「3 ミディアムロースト」か「4 ハイロースト」です。

私は、「5 シティロースト」「6 フルシティロースト」あたりの煎りが好みです。ちなみに、この「シティ」は、「ニューヨークシティ」を指すそうです。

 

焙煎した豆は一気に冷ますことが大事です。最近はバッテリー式のブロワーを使っていますが、これだと瞬く間に熱を取ることができます。

 

 

さて、焙煎が終わると、お楽しみのコーヒータイムです。

保存容器を開けたときのグアテマラ産コーヒー豆の香りが、私のお気に入りです。これだけを使うこともありますが、通常はタンザニア産の豆とブレンドして使っています。インドネシア産にもいい豆がありましたし、ブラジル産の豆も出番を待っています。

コーヒーの味は、同じ豆を使っていても、お湯の温度や注ぐ速さによって大きく変わります。

基本は大事でしょうが、縛られる必要はありません。お湯の温度が高いと抽出が早く、低いと遅いのです。この関係さえ頭に入れておけば、あとはおいしく感じるタイミングを掴めばいいわけです。

鉄則として守っていることは、

沸騰したら火をとめ、表面が鎮まるのを待つ。(2~3分も待てば十分)

30秒間蒸らす。

蒸らしの時間を含めて3分程度で淹れ終わる。

という3つくらいです。

 

淹れるコーヒーは2杯分。

自作のイスに座って、自作のスピーカーから流れる音楽を聴きながら、自家焙煎ハンドドリップのコーヒーを味わう午後のひととき。

隣のイスには妻がいて…。

贅沢な至福の時間が過ぎていきます。