教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

人権教育

人権教育2022⑤ 人権教育の「流行」(その3)

高速大容量通信時代のキャリア教育 日本でスマートフォン(スマホ)が使われるようになったのは、 2007年のiPhone発売および2008年のAndroid端末発売からです。 「4G」(フォージー、「4th Generation」の略で「第4世代移動通信システム」の意)によって高速…

人権教育2022④ 人権教育の「流行」(その2)

SDGsというフィルター SDGs (エズ・ディー・ジーズ)とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。 2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された…

人権教育2022③ 人権教育の「流行」(その1)

人権教育の「流行」。 ここで使っている「流行」というのは、「はやり」という意味ではありません。「今日(こんにち)的な課題」という意味です。 谷口真由美さんが「30年前に習った人権は当てはまらない」と言われるのは、人権教育の「流行」にかかわりま…

人権教育2022② 人権教育の「不易」

「30年前に習った人権は当てはまらない」と、谷口真由美さん(大阪国際大学准教授。大阪大学非常勤講師。専門分野は、国際人権法、ジェンダー法、日本国憲法。)は言います。 いわく、 30年前に習った人権は当てはまらない 谷口真由美さんが語る差別 聞き手…

人権教育2022①

2002年4月から20年。 2002年4月というのは、人権教育の大きな節目であり、新しい船出のときでもありました。 少し詳しくお話ししましょう。 日本の人権教育は、同和教育が構築しリードしてきました。 心ある教員によって推し進められてきた同和教育が、法…

人権教育としての情報教育③ ~東京・町田の女児自死に思う~

情報モラル教育の土台は人権教育です。 人権教育については、文部科学省に設置された「人権教育の指導方法等に関する調査研究会議」が、2008年3月に「人権教育の指導方法等の在り方について[第三次とりまとめ]」を出しています。 そこには、「各学校にお…

人権教育としての情報教育② ~東京・町田の女児自死に思う~

文部科学省は、児童生徒向けに「ちょっと待って!スマホ時代のキミたちへ~スマホやネットばかりになっていない?~」という情報モラル啓発リーフレットを出しています。 2021年版の「小学校低学年用」と「小学校高学年・中学生用」の一部を紹介します。 リ…

人権教育としての情報教育① ~東京・町田の女児自死に思う~

この稿を書くことになったきっかけは、東京・町田の小6女児自殺の背景に学校のタブレットがあったという報道です。 まずは、地元紙「東京新聞」(web版 2021年9月13日 21時46分)の記事です。 東京・町田の小6女児が自殺、同級生からのいじめ示すメモ 遺族…

音楽で人権教育を考える④

3003年に行った講演では、「部落問題」「在日朝鮮人問題」とともに「平和問題」を取り上げました。 具体的には「沖縄」の問題に焦点を当て、「島唄」を紹介しました。(「さとうきび畑」も用意していましたが、時間の都合で聴いていただくことはできませんで…

音楽で人権教育を考える③

今回は、在日朝鮮人問題がテーマです。 最初にテーマの「表記」について触れておきます。 ここでは「在日朝鮮人」という表現を、日本に在留する朝鮮半島にルーツを持つ人々の総称として用いています。 「在日韓国・朝鮮人」として場合は、韓国(大韓民国)籍…

音楽で人権教育を考える②

部落(同和)問題は「重大な社会問題」であり、その解決は「国の責務」であるとともに「国民的課題」であるとした「同和対策審議会答申(同対審答申)」が出されたのは、1965年のことです。 この答申を受けて、1969年に「同和対策特事業別措置法(特措法)」…

音楽で人権教育を考える①

SMAPの「世界に一つだけの花」が流行ったのは2002年のことでした。 翌2003年8月、某所にて人権教育の講演を行ったのですが、その折に「世界に一つだけの花」を聴いてもらいました。 音楽を通して「人権教育とは何か」を考える企画です。 つぎに示しているの…

人権教育教材としての『おくりびと』と『納棺夫日記』

『おくりびと』は、2008年に公開された映画です。 滝田洋二郎監督の作品で、第32回日本アカデミー賞最優秀作品賞などを受賞しています。 Wikipediaから作品の「あらすじ」を引きます。 プロのチェロ奏者として東京の管弦楽団に職を得た小林大悟。しかし、あ…

節分の鬼はどこにいる

節分と言えば、豆まき。 豆まきと言えば、「鬼は外 福は内」 。 とまあ、相場が決まっているのですが…。 「鬼」ってなんでしょう? 「鬼」はどこにいるのでしょう? 「鬼は外 福は内」というフレーズには、「鬼」=「悪」という前提があります。 広い世間の…

「米騒動」か「米よこせの運動」か

1月8日、映画『大コメ騒動』の上映が始まりました。 映画の題材は、1918(大正7)年の「米騒動」です。 「米騒動」の始まりは富山県で、『大コメ騒動』の本木克英監督も富山出身です。映画は富山における「米騒動」という史実を題材にしていますが、あく…

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑮

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑪から紹介しています講演の続きです。 私の被爆体験~広島からのメッセージ~ 森本範雄さん1.被爆前の日常生活や当時の模様、当時の直前の様子 「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑪ 2…

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑭

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑪から紹介しています講演の続きです。 私の被爆体験~広島からのメッセージ~ 森本範雄さん1.被爆前の日常生活や当時の模様、当時の直前の様子 「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑪ 2…

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑬

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑪から紹介しています講演の続きです。 私の被爆体験~広島からのメッセージ~ 森本範雄さん1.被爆前の日常生活や当時の模様、当時の直前の様子 「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑪ 2…

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑫

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑪で紹介した講演の続きです。 私の被爆体験~広島からのメッセージ~ 森本範雄さん1.被爆前の日常生活や当時の模様、当時の直前の様子 「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑪ 2.爆発の…

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑪

2007年度の6年生は、森本範雄さんという方の被爆体験を『めっせえじ』というDVDにまとめました。 制作手法は、「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する①・被爆体験を記録する②・被爆体験を記録する③で紹介した『ヒロシマのこえが聞こえますか…

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑩

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する④から紹介しています講演の続きです。 反戦・反核・反差別 21世紀につなぐヒロシマからのメッセージ 下 原 隆 資 さ ん(元・被爆教職員の会) ■育ったところの言葉で話す 「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・…

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑨

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する④から紹介しています講演の続きです。 反戦・反核・反差別 21世紀につなぐヒロシマからのメッセージ 下 原 隆 資 さ ん(元・被爆教職員の会) ■育ったところの言葉で話す 「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・…

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑧

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する④から紹介しています講演の続きです。 反戦・反核・反差別 21世紀につなぐヒロシマからのメッセージ 下 原 隆 資 さ ん(元・被爆教職員の会) ■育ったところの言葉で話す 「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・…

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑦

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する④から紹介しています講演の続きです。 反戦・反核・反差別 21世紀につなぐヒロシマからのメッセージ 下 原 隆 資 さ ん(元・被爆教職員の会) ■育ったところの言葉で話す 「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・…

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑥

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する④から紹介しています講演の続きです。 反戦・反核・反差別 21世紀につなぐヒロシマからのメッセージ 下 原 隆 資 さ ん(元・被爆教職員の会) ■育ったところの言葉で話す 「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・…

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する⑤

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する④で紹介した講演の続きです。 反戦・反核・反差別 21世紀につなぐヒロシマからのメッセージ 下 原 隆 資 さ ん(元・被爆教職員の会) ■育ったところの言葉で話す 「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験…

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する④

このシリーズの①から③で紹介してきた「ヒロシマのこえが聞こえますか」の原点は、被爆体験の講演です。 被爆体験に限らず、これまでに10本あまりの講演の「テープ起こし」をしてきました。1時間30分の講演を文字化するには相当の時間と労力を要しますが、そ…

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する③

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する②で紹介している「ヒロシマのこえが聞こえますか」の第2章「2.ビデオ「ヒロシマのこえがきこえますか」」の続きです。 ヒロシマのこえが聞こえますか 2.ビデオ「ヒロシマのこえがきこえますか」 最後…

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する②

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する①で紹介している「ヒロシマのこえが聞こえますか」の続きです。 ヒロシマのこえが聞こえますか 2.ビデオ「ヒロシマのこえがきこえますか」 ヒロシマで学んだことを子どもたちの心に残したい。そう思いな…

「戦後80年」に紡ぎ継ぐ その3・被爆体験を記録する①

私は在職中に2度、ヒロシマの被爆体験の記録化に取り組みました。 1度目は1985年のことで、「ヒロシマのこえがきこえますか」というビデオを作りました。 2度目は2007年で、「めっせえじ」というDVDにまとめました。 両者に共通しているのは、ビデオ紙…