教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

教育雑記帳

公立小学校、全学年35人学級へ 前進!今頃?

教育界にとって久しぶりに大きなニュースが飛び込んできました。 公立小学校、全学年35人学級へ 40年ぶり見直し 17日合意へ 12/16(水) 19:32配信 1496 学校(写真はイメージ)=ゲッティ 現在は40人(小学1年は35人)と定められている公立小中学校の学級基準…

「現在形」で語る教育

教育実践を「現在形」で語るというのは、厳密に言えば物理的に不可能です。 つい終えたばかりの実践であっても、語る時点では「過去形」です。 本稿のタイトルは、「『現在形』で語る教育」です。 この稿における「現在形」には、もう少し幅があります。 現…

胃は体の外?

「今朝は何を食べてきた?」 「食べたものは今どこにあるの?」 「そう、お腹の中。胃の中だね。」 「ところで、胃は体の中にあるの? それとも外にあるの?」 こんな突飛な問いで始まる学びの時間を持ちたかったなあ……。 仕事を辞めてから読んだ本の中で、…

黄葉と紅葉を科学する

木々の葉が色づく季節です。 イチョウの黄葉、カエデの紅葉……今年も幾枚もの写真を撮り収めました。 私は文系の人間ですから、彩りの移ろいを愛でることはあっても、なぜ移ろうのかなどと深く考えたことはありませんでした。 目からウコロを落としてくれたの…

「面従腹背」という生き方

「面従腹背」(めんじゅうふくはい) うわべだけ上の者に従うふりをしているが、内心では従わないこと。 ▽「面従」は人の面前でだけ従うこと。「腹」は心の中のこと。「背」は背くこと。 (三省堂 新明解四字熟語辞典) 四字熟語は中国由来のものが多いです…

GIGAスクール構想は学校を変える?

国の政策がこんなに速く現場に下りてくることもあるんだと、妙な感心をしたことがあります。 コロナ禍対策のなかで、文部科学省のGIGAスクール構想が前倒しで実現されることになりました。そして、10月下旬の教室では届いたばかりの端末を使った授業が始まっ…

マスク越しの授業に思う

私は現在、地元の小学校と中学校でコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の委員をしています。 今年度はコロナ禍の影響で、どちらの学校運営協議会も開店休業状態が続いていました。 先月、小学校の協議会の初会合があり、全クラスの授業を見せてい…

「いじめ認知件数最多」報道に思う

10月22日、文部科学省が2019年度のいじめ等に関する調査結果を発表しました。 『令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について』というのがそれですが、130ページに及ぶ冊子です。 まずは、報道機関の記事で概要を見…

(200投稿)トップランナーとして生きる

本日、投稿記事が200の節目を迎えました。 「トップランナー」というと、先頭を走っている「ナンバーワン」を想うかもしれません。 私は、若いころから「職人」教師をめざしていたように想います。できれば一流の…。 まさに、「オンリーワン」にして「ナンバ…

小学校高学年からの教科担任制導入へ

先ごろ、中央教育審議会(中教審)の時代の初等中等教育の在り方特別部会が、「答申案作成に向けた骨子(案)」をまとめました。 その中に、「2022年度より、小学校高学年に教科担任制を導入する。対象とすべき教科は外国語、理科、算数」といったことが書か…

安倍教育改革の遺したもの(その12)

安倍改革の「エンジン」② 安倍改革の「エンジン」は「日本会議」であると書きました。 さりとてそれは、国会議員が多数所属しているとは言え、1民間団体です。なぜそれが、それほどまでに強い影響力を持ちうるのでしょうか。 自然吸気のエンジンにターボ機…

安倍教育改革の遺したもの(その11)

安倍改革の「エンジン」① ここに「美しい日本」号という車があります。 この車には、数々の改革シリンダーを備えた「エンジン」が積まれています。 幾人もの人が乗っています。 安倍氏が運転手の役を担った時、彼は「アクセル」を目一杯踏み込み、車を前に進…

安倍教育改革の遺したもの(その10)

道徳の教科化③ 「道徳科」の周辺探訪 教育基本法の改正と同様に、道徳教育の充実を求めて取り組んできた民間団体があります。その活動を追うとともに、それが安倍教育改革にどう絡んでいくのかも併せて検証していきたいと思います。いわば「道徳科」の周辺探…

安倍教育改革の遺したもの(その9)

道徳の教科化② 「特設道徳」から「道徳科」へ 「道徳」の前身は、戦前の「修身」です。 日本の敗戦によって「修身」は廃止され、戦後はその役割を「社会科」が担うようになりました。 しかし一方で、「修身」の復活を模索する動きはその頃からありました。 …

安倍教育改革の遺したもの(その8)

道徳の教科化① 安倍政権が教育に遺したものの代表は、教育基本法の「改正」と道徳の教科化です。 教科としての道徳は、第2次安倍政権の2015年3月27日の「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の制定,小学校学習指導要領の一部を改正する告示,中学校学…

安倍教育改革の遺したもの(その7)

教員免許更新制の導入③ 教員免許更新制導入は、一体なんのために導入されたのでしょう。 2007年6月27日に教育職員免許法が改正され、2009年4月1日から教員免許更新制が導入されました。 免許更新に必要な30時間の研修は、2010年度中に55歳、45歳、35歳を迎え…

安倍教育改革の遺したもの(その6)

教員免許更新制の導入② 教員免許更新制導入の経緯とねらいについて考えます。 教員免許更新制導入に関して、自民党においては1980年代から議論が始まっていました。 それが表舞台に出てくるのは、「教育改革国民会議」の「教育改革国民会議報告 -教育を変え…

安倍教育改革の遺したもの(その5)

教員免許更新制の導入① 教員免許更新制は、第1次安倍政権の2007年6月27日に公布された「教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律」(平成19年法律第96号) によって、教育職員免許法(昭和24年法律第147号)を改正施行することによって実施…

安倍教育改革の遺したもの(その4)

教育基本法の「改正」③ 教育基本法が「改正」されたのは、安倍氏が首相に就任した直後です。 つまり、「改正」法案は就任以前に用意されていました。今回は、法案ができる前段階を検証しつつ、その背景に迫りたいと思います。 文部科学省の公式アナウンスに…

安倍教育改革の遺したもの(その3)

教育基本法の「改正」② 今回は、教育基本法はなぜ、何のために「改正」されたのかについて考えます。 まずは文部科学省の公式アナウンス。 教育基本法について 平成18年12月15日、新しい教育基本法が、第165回臨時国会において成立し、12月22日に公布・施行…

安倍教育改革の遺したもの(その2)

教育基本法の「改正」① 安倍内閣の教育政策のなかで最も大きなものは、第一次政権発足直後に行った教育基本法の「改正」です。 「改正」から15年も経てば、今が当たり前になりつつあります。しかし、何がどう変わったのか、なぜ変わったのかを知ることは、こ…

安倍教育改革の遺したもの

先刻、安倍晋三内閣総理大臣がその職を辞しました。 安倍政権は、第1次政権(2006年9月26日~2007年8月27日)の11ヶ月と第2次政権(2012年12月26日~2020年9月16日)の7年8ヶ月をあわせると、8年7ヶ月に及びました。 安倍政権が教育の世界に遺した…

多謝1000PV デジタル時代の教育実践記録

私は1978年に教師になりましたが、小欄に出てくる教育実践は、そのほとんどが2000年代になってからのものです。 理由はいたって明白です。20世紀の間の教育実践や実践記録は多くが紙媒体による保存なのに対して、21世紀になってからのものはほぼデジタルメモ…

教育の中立性という虚構

中立性のものさし ものさしがあります。真ん中に「0」、そこから左右にそれぞれ「1・2・3・4・5」のメモリがついています。 これが「中立性のものさし」です。 このものさしを使って、「教育の中立性」を測ります。 目に見える具体物の測定は、ものさし…

軍隊と学校

「軍隊と学校」といっても戦前の話ではありません。 こんにち現在、学校現場に遺る「軍隊の名残」について考えます。 立哨指導 子どもたちの登下校を見守る交通安全指導のうち、あるポイントに立って行うものを「立哨」指導と呼んでいるところはないでしょう…

わかったつもり

つい先日から、知人に頼まれて中2の子の数学を見ています。彼は、交通機関を乗り継ぎ30分以上かけて私の家にやって来ます。 最初の顔合わせで、これまでの様子を聞きました。 1年の「正の数・負の数」は? --全然大丈夫です。(という日本語は全然大丈夫…

オンライン授業への期待と危惧と

コロナ禍休校を機に、オンライン授業に視線が集まるようになりました。 マスコミが決まって取り上げたのは、ハード面の充実度とオンライン授業の実施度です。いずれも割合が高いほど「進んでいる」、低いほど「遅れている」という「評価」を伴ったコメントが…

保護者とは子育て協働の関係でありたい⑦

シリーズの最終回です。 学級通信の「おうちの方へ特集号」では、教室の授業風景もしばしば届けました。教室の学びを知ってもらうことは、保護者が他所さまの子も含めて子どもを深く知る機会にもなりますし、どんな教育を目指しているのかといったことに触れ…

保護者とは子育て協働の関係でありたい⑥

2010年から2014年までの5年間に保護者に届けたメッセージを各年1つずつ紹介します。 この5年間が私の最後の勤務校となりました。 おうちの方へ特集号 2010.7.12 夏休みを自律と自立の機会に ■打たれ強い子どもに育てたい 間もなく1学期が終わります。振…

保護者とは子育て協働の関係でありたい⑤

今回は、2009年の記録です。 このクラスは前年度のほぼ1年間にわたり学級崩壊が続きました。詳細は、「尾木ママに学んだ学級崩壊」②及び③に掲載しています。 学級崩壊からの規律回復と学力回復をめざして、保護者に届けたメッセージです。 おうちの方へ特集…