教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

教育雑記帳

再度、「先生」という呼称を考える

ちょっとおもしろい(関心を引くという意味です)ニュースがありました。 NHKの報道記事から紹介します。 大阪府議会 ”議員を「先生」と呼ばないで” 特別と勘違い助長2022年9月28日 17時01分 大阪府議会では、長年の慣例により議員に対して使われてきた「…

「旭川女子中学生いじめ凍死事件」を対岸の火事にしない③

重大な人権侵害事件 6月22日の「ウッペツ川飛び込み」事案によって、問題が顕在化します。 「Wikipedia」 当該女子中学生は2019年4月に北海道旭川市の旭川市立北星中学校に入学して間もなく、数人の中学生男女らにいじめられるようになった。 その中の他校…

「旭川女子中学生いじめ凍死事件」を対岸の火事にしない②

「いじめ」とは何か 「旭川女子中学生いじめ凍死事件」について、「Wikipedia」の記事をもとに検証します。 「Wikipedia」 当該女子中学生は2019年4月に北海道旭川市の旭川市立北星中学校に入学して間もなく、数人の中学生男女らにいじめられるようになった…

「旭川女子中学生いじめ凍死事件」を対岸の火事にしない①

「旭川女子中学生いじめ凍死事件」 「旭川女子中学生いじめ凍死事件」について、市教育委員会の第三者委員会が最終報告書を公表しました。 「NHK NEWS WEB」の記事です。 中2女子死亡で第三者委の最終報告書公表 市長は再調査を表明 2022年09月20日 18時…

「障害者権利条約」と「インクルーシブ教育」⑥

「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」の真意はどこに 「通知」は「インクルーシブ教育を推進するもの」だという永岡文科大臣の主張は、インクルーシブ教育を推進するために「通知」を出したという意味ではありません。「撤回」を求められ…

「障害者権利条約」と「インクルーシブ教育」⑤

「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」 今回は、障害者権利委員会が示した「懸念」および「要請」の(b)についてです。 日本の初回報告に関する所見のまとめ 教育(第24条)51.委員会は、次の事項について懸念する。 (b)障害児を正規の学…

「障害者権利条約」と「インクルーシブ教育」④

「日本の初回報告に関する所見のまとめ」 2022年8月22、23日、スイス・ジュネーブにおいて国連の障害者権利委員会による締約国審査(「建設的対話」)が行われました。 日本からも多くの人が現地に行かれ、ネットではいくつもの報告を目にすることができま…

「障害者権利条約」と「インクルーシブ教育」③

「事前質問」と「事前質問への回答」 2016年5月の日本政府の「政府報告」を受けて、国連の障害者権利委員会による締約国審査(「建設的対話」)が行われます。そのための準備として、「事前質問」と「質問への回答」があります。 2019年10月29日、国連から…

「障害者権利条約」と「インクルーシブ教育」②

「障害者の権利に関する条約 第1回日本政府報告」 条約締約国は、批准した条約の内容と齟齬ないように国内法や制度の見直しを行う必要があります。その工程や進捗状況をまとめたものが、「政府報告」です。 日本が「障害者権利条約」を批准したのは2014年1…

「障害者権利条約」と「インクルーシブ教育」①

「障害者権利条約」について国連が勧告 「障害者権利条約」について、国連の委員会が日本の取り組み状況を初めて審査し、勧告を公表しました。(2022年9月9日) 強制入院や分離教育など禁止勧告 国連が日本の障害者差別巡り初審査 障害に基づくあらゆる差…

デジタル教科書の近未来

去る8月25日、中央教育審議会「第5回教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループ」が開かれました。会議では「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた教科書・教材・ソフトウェアの在り方について(案)~ 中間報告(論点整理案)…

新自由主義と公教育⑤

続・「効果のある学校」 欧米の「効果のある学校」の研究成果を、日本の学力向上の取り組みにどう取り入れていったのでしょうか。 今回の引用部分も、『部落解放研究 No.195』(2012.7)所収、志水宏吉さんの「子どもたちの学力水準を下支えしている学校の…

新自由主義と公教育④

私は、公教育の使命はとりわけしんどい立場にある子どもを適切に支えることだと信じて教育活動をしてきました。 しかし、現実にはしんどい立場にある子どもが学力低位に置かれる実態が存在しました。その顕著なものが、被差別部落の子どもたちの低学力傾向で…

新自由主義と公教育③

志水宏吉さんは、『ペアレントクラシー』のなかで、「新自由主義的教育政策とは、市場原理(より具体的にいうなら、選択の自由、あるいは競争原理や成果主義)を教育の場に持ち込もうという明確な意図を備えた一連の政策」のことを指すと述ています。 そして…

新自由主義と公教育②

新自由主義政策は「市場での自由競争により、富が増大し、社会全体に行き渡」らせるはずでした。 しかし実際は、「再配分よりも富の集中や蓄積・世襲化が進み、貧富の差を広げる」のではという懸念が現実化し、「格差社会」が進行しています。 こうした社会…

新自由主義と公教育①

今日、公教育の現場で起こっている問題の相当部分が、「新自由主義」と言われる教育政策によるもののようです。 志水宏吉さん(大阪大学教授)の近著『ペアレントクラシー』を読んで、長年のモヤモヤがずいぶんすっきりしました。 志水さんは最も信頼できる…

教師の資質向上に関する指針・ガイドライン案 パブリックコメント募集中

文部科学省から「公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針改正案」及び「研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドライン案」が公表され、7月29日までパブリックコメントを募集しています。 これは、今…

「こども基本法」を考える⑦

「こども基本法」を考える⑦ 「意見表明権」と「子どもコミッショナー」 「子どもの権利条約」の主旨は、「子どもを権利をもつ主体と位置づけ、おとなと同様ひとりの人間としての人権を認める」ことです。 条約が定める子どもの権利のなかで、もっとも象徴的…

「こども基本法」を考える⑥

「こども基本法」を考える⑥ 「子どもの権利条約」から「こども基本法」への28年 「子どもの権利条約」は、1989年の第44回国連総会において採択され、1990年に発効しました。 日本では、1994年に子どもの権利条約に批准しました。158番目の批准国です。 こ…

「こども基本法」を考える⑤

「こども基本法」を考える⑤ 子どものための「子どもの権利条約」 「子どもの権利条約」は、子どもの権利を守ることを目的としています。ところが条約文は難しく、子どもには理解できません。 条約が批准されたころには子ども向けの本も出版されました。さい…

「こども基本法」を考える④

「こども基本法」を考える④ 「子どもの権利条約」とは このたび成立した「こども基本法」は、日本が1994年に批准した「子どもの権利条約」に対応するための国内法という位置づけになっています。 「子どもの権利条約」というのはどういうものだったのでしょ…

「こども基本法」を考える③

「こども基本法」を考える③ 「子どもコミッショナー」をめぐって 「こども家庭庁」「こども基本法」をめぐる国会審議において、もっとも強く反対の立場を取ったのは日本共産党でした。 塩川鉄也議員が衆院本会議で行った反対討論(5月17日)の要旨です。 貧…

「こども基本法」を考える②

「こども基本法」を考える② 「こども基本法」とは… 「こども基本法」成立の前日、NHKがこの問題を取り上げ法の理念と課題について詳しく伝えています。引用して紹介します。 「こども基本法」って何?【詳しく】子どもの権利どう守る? こども基本法の理念…

「こども基本法」を考える①

「こども基本法」を考える① 「こども基本法」成立 2022年6月15日、参院本会議でこども家庭庁設置法が賛成多数で可決成立しました。それと同時に、こども基本法も成立しました。 今回は、成立の日の記録として、当日配信された「朝日新聞デジタル」の記事を…

大丈夫か?学校!授業!③

中途半端な改革から本質的な改革へ 前々回の記事の最終部分を再掲します。 しかし「ICT(情報通信技術)教育が学力向上につながるというエビデンス(科学的根拠)はほとんどない」(佐藤学氏)。 というのです。 佐藤氏は、その論拠としてPISA2015報告書の「…

大丈夫か?学校!授業!②

教育の本質と教師の本分 4月の異動で、ひとりの後輩が教室を離れました。 それは「唐突」な報せでした。 私は教師の「職人」性に惹かれてヒラであることを通しました。自分の生き方を人に押しつけるつもりは毛頭ありません。ただ、その後輩は私と同じような…

大丈夫か?学校!授業!①

「針の穴から天井覗く」ということわざがあります。 私が見聞きする学校や授業は、地図帳の日本列島にチョンと突いた針穴のような世界。まさに「針の穴から日本教育を覗く」です。 しかし、「針穴」の風景が日本全体の風景の縮図であることもしばしばあるも…

「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」施行

2022年4月1日、「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が施行されます。 朝日新聞デジタルが伝えた記事です。 いじめと感じて「嫌な気持ちに」1万2千人が回答 奈良県教委の調査 朝日新聞デジタル 3/24(木) 14:27配信 奈良県教育委員会…

教員の労働環境改善こそ、教育の質向上の第一歩

年度末です。 人事異動があり、新規採用者の配置があり、そして新しい年度が始まります。 さて、新年度を迎える職員室はワクワク感に満ち満ちているでしょうか。先生たち一人ひとりの瞳は生き生きと輝いているでしょうか。 かつて私の職場でもあった職員室は…

「こども『家庭』庁」を考える

菅義偉内閣で設立が構想されていた「こども庁」が、岸田文雄内閣のもとで「こども家庭庁」という名称で2023年4月に設置されます。 「こども庁」から「こども家庭庁」へ。 この小さな変更に含まれる大きな意味を考えたいと思います。 朝日新聞「耕論」(2022…