教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

教育雑記帳

「不登校特例校」が示すもの③

岐阜市立草潤中学校は、「不登校特例校」の「成功例」の一つだと言えます。 そして、そこにはいくつもの「ヒント」があります。 教育ジャーナリストの中曽根陽子さんの記事です。(詳しくは前回の記事を参照) 「バーバパパのがっこう」生徒が自分で選べる公…

「不登校特例校」が示すもの②

一市民が「不登校特例校」の内実を知ることは、ほとんど不可能です。 ここに、教育ジャーナリストの中曽根陽子さんが「不登校特例校」を現地取材されたレポートがあります。一部を抜粋して引用させていただきます。 「不登校の生徒が登校率85%の奇跡」岐阜の"…

「不登校特例校」が示すもの①

2023年1月31日、文部科学省は過去最多となった不登校の対策方針を示しました。「有識者会議の意見を踏まえ、年度内にもとりまとめる」としています。 GIGA端末で不登校の兆候把握へ 相談希望や「アラート」導入毎日新聞 1/31(火) 19:27配信 文部科学省は31…

卯年・ウサギの本…『ガラスのうさぎ』(高木敏子)

『ガラスのうさぎ』(高木敏子) 『ガラスのうさぎ』高木敏子著(金の星社 1977年初版) Amazon 内容(「BOOK」データベースより) 1945年3月10日、東京大空襲。東京の町は、戦火につつまれた。焼け跡には、敏子の家にあった「ガラスのうさぎ」が、ぐに…

卯年・ウサギの本…『兎の眼』(灰谷健次郎)③

『兎の眼』のことを書いたので、ウサギとは無関係ですが『太陽の子(てだのふあ)』に触れないわけにはいきません。 『太陽の子』灰谷健次郎著(理論社 1978年初版) 1976年1月号より1978年6月号まで雑誌『教育評論』に連載され、同年理論社より単行本…

卯年・ウサギの本…『兎の眼』(灰谷健次郎)②

『兎の眼』のなかに、「みなこ当番」という見出しの章があります。 重い障害のある「みな子」をめぐるクラスの話し合いは、前章の「くもりのち晴れ」に出てきます。「当番」云々の提案は、一緒にずっといることでみな子ちゃんのことを理解できるし好きにもな…

卯年・ウサギの本…『兎の眼』(灰谷健次郎)

『兎の眼』(灰谷健次郎) 『兎の眼』灰谷健次郎著(理論社 1974年初版) Amazon 内容(「BOOK」データベースより) 大学を出たばかりの新任教師・小谷芙美先生が受け持ったのは、学校では一言も口をきこうとしない一年生・鉄三。決して心を開かない鉄三…

教員の「心の病」が深刻だ(その3)

前回の記事の流れです。 「心の病で休職の公立校教員が過去最多 背景に長時間労働など」 「毎日新聞」の見出しです。 「心の病」の背景に、「長時間労働」の問題があります。 … … … それにしても、と考えます。 長時間労働、多忙ということでいえば、民間に…

教員の「心の病」が深刻だ(その2)

「心の病で休職の公立校教員が過去最多 背景に長時間労働など」 「毎日新聞」の見出しです。 「心の病」の背景に、「長時間労働」の問題があります。 田原総一朗さんは、教員の過酷な労働環境が子どもの教育に悪いを与え、ひいては教員不足につながっている…

教員の「心の病」が深刻だ

2021年度に「心の病」で1カ月以上休んだ公立学校の教員について、文部科学省が調査結果を発表しました。 新聞報道を紹介します。 心の病で休職の公立校教員、最多5897人 若い世代ほど高い割合朝日新聞デジタル12/26(月) 17:00配信 昨年度に「心の病」で休職…

「全国学力テスト」事前対策問題を考える③

「学力」というとき、そこには2つの顔があると思います。 わかりやすい言葉で表現すると、「テストの点数で測れる学力」と「テストでは測れない学力」です。 (異論もあるでしょうから、「私見では」と書き添えておきます。) ここでは、「テストの点数で測…

「全国学力テスト」事前対策問題を考える②

NHKの取材では、8つの県でことしの「全国学力テスト」に向けた「事前対策」が行われていたという調査結果が明らかになりました。 次の8県です。 岩手県 秋田県 山形県 宮城県 富山県 石川県 長野県 大分県 沖縄県 8県のうち秋田、宮城、富山、石川、長…

「全国学力テスト」事前対策問題を考える①

NHKのニュースサイトが、「全国学力テスト」の事前対策問題を連続して取り上げています。 考えるべき課題はいくつもあると思いますが、まずは学校現場で起こっている事実を知ることから始めなければなりません。重要なスクラップとなりますので、全記事を…

再度、「先生」という呼称を考える

ちょっとおもしろい(関心を引くという意味です)ニュースがありました。 NHKの報道記事から紹介します。 大阪府議会 ”議員を「先生」と呼ばないで” 特別と勘違い助長2022年9月28日 17時01分 大阪府議会では、長年の慣例により議員に対して使われてきた「…

「旭川女子中学生いじめ凍死事件」を対岸の火事にしない③

重大な人権侵害事件 6月22日の「ウッペツ川飛び込み」事案によって、問題が顕在化します。 「Wikipedia」 当該女子中学生は2019年4月に北海道旭川市の旭川市立北星中学校に入学して間もなく、数人の中学生男女らにいじめられるようになった。 その中の他校…

「旭川女子中学生いじめ凍死事件」を対岸の火事にしない②

「いじめ」とは何か 「旭川女子中学生いじめ凍死事件」について、「Wikipedia」の記事をもとに検証します。 「Wikipedia」 当該女子中学生は2019年4月に北海道旭川市の旭川市立北星中学校に入学して間もなく、数人の中学生男女らにいじめられるようになった…

「旭川女子中学生いじめ凍死事件」を対岸の火事にしない①

「旭川女子中学生いじめ凍死事件」 「旭川女子中学生いじめ凍死事件」について、市教育委員会の第三者委員会が最終報告書を公表しました。 「NHK NEWS WEB」の記事です。 中2女子死亡で第三者委の最終報告書公表 市長は再調査を表明 2022年09月20日 18時…

「障害者権利条約」と「インクルーシブ教育」⑥

「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」の真意はどこに 「通知」は「インクルーシブ教育を推進するもの」だという永岡文科大臣の主張は、インクルーシブ教育を推進するために「通知」を出したという意味ではありません。「撤回」を求められ…

「障害者権利条約」と「インクルーシブ教育」⑤

「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」 今回は、障害者権利委員会が示した「懸念」および「要請」の(b)についてです。 日本の初回報告に関する所見のまとめ 教育(第24条)51.委員会は、次の事項について懸念する。 (b)障害児を正規の学…

「障害者権利条約」と「インクルーシブ教育」④

「日本の初回報告に関する所見のまとめ」 2022年8月22、23日、スイス・ジュネーブにおいて国連の障害者権利委員会による締約国審査(「建設的対話」)が行われました。 日本からも多くの人が現地に行かれ、ネットではいくつもの報告を目にすることができま…

「障害者権利条約」と「インクルーシブ教育」③

「事前質問」と「事前質問への回答」 2016年5月の日本政府の「政府報告」を受けて、国連の障害者権利委員会による締約国審査(「建設的対話」)が行われます。そのための準備として、「事前質問」と「質問への回答」があります。 2019年10月29日、国連から…

「障害者権利条約」と「インクルーシブ教育」②

「障害者の権利に関する条約 第1回日本政府報告」 条約締約国は、批准した条約の内容と齟齬ないように国内法や制度の見直しを行う必要があります。その工程や進捗状況をまとめたものが、「政府報告」です。 日本が「障害者権利条約」を批准したのは2014年1…

「障害者権利条約」と「インクルーシブ教育」①

「障害者権利条約」について国連が勧告 「障害者権利条約」について、国連の委員会が日本の取り組み状況を初めて審査し、勧告を公表しました。(2022年9月9日) 強制入院や分離教育など禁止勧告 国連が日本の障害者差別巡り初審査 障害に基づくあらゆる差…

デジタル教科書の近未来

去る8月25日、中央教育審議会「第5回教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループ」が開かれました。会議では「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた教科書・教材・ソフトウェアの在り方について(案)~ 中間報告(論点整理案)…

新自由主義と公教育⑤

続・「効果のある学校」 欧米の「効果のある学校」の研究成果を、日本の学力向上の取り組みにどう取り入れていったのでしょうか。 今回の引用部分も、『部落解放研究 No.195』(2012.7)所収、志水宏吉さんの「子どもたちの学力水準を下支えしている学校の…

新自由主義と公教育④

私は、公教育の使命はとりわけしんどい立場にある子どもを適切に支えることだと信じて教育活動をしてきました。 しかし、現実にはしんどい立場にある子どもが学力低位に置かれる実態が存在しました。その顕著なものが、被差別部落の子どもたちの低学力傾向で…

新自由主義と公教育③

志水宏吉さんは、『ペアレントクラシー』のなかで、「新自由主義的教育政策とは、市場原理(より具体的にいうなら、選択の自由、あるいは競争原理や成果主義)を教育の場に持ち込もうという明確な意図を備えた一連の政策」のことを指すと述ています。 そして…

新自由主義と公教育②

新自由主義政策は「市場での自由競争により、富が増大し、社会全体に行き渡」らせるはずでした。 しかし実際は、「再配分よりも富の集中や蓄積・世襲化が進み、貧富の差を広げる」のではという懸念が現実化し、「格差社会」が進行しています。 こうした社会…

新自由主義と公教育①

今日、公教育の現場で起こっている問題の相当部分が、「新自由主義」と言われる教育政策によるもののようです。 志水宏吉さん(大阪大学教授)の近著『ペアレントクラシー』を読んで、長年のモヤモヤがずいぶんすっきりしました。 志水さんは最も信頼できる…

教師の資質向上に関する指針・ガイドライン案 パブリックコメント募集中

文部科学省から「公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針改正案」及び「研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドライン案」が公表され、7月29日までパブリックコメントを募集しています。 これは、今…