小学校3・4年生の教科書に登場することわざの第17回は「大山鳴動して鼠一匹」です。教科書の表記は、「大山鳴動してねずみ一ぴき」となっています。
「大山鳴動して鼠一匹」の読み方
たいざんめいどうしてねずみいっぴき
「大山鳴動して鼠一匹」の意味
(ローマの詩人ホラティウスの「詩論」から)前ぶれの騒ぎばかりが大きくて、実際の結果の小さいことのたとえ。「大山」は「泰山」とも書く。(広辞苑)
「大山鳴動して鼠一匹」の使い方
「大山鳴動して鼠一匹。とどのつまりが事故ですかあ」(北森鴻『不帰屋』2000年)
「大山鳴動して鼠一匹」の語源・由来
「大山鳴動して鼠一匹」は、古代ローマの詩人ホラティウスの言葉から出た西洋のことわざです。
原文はラテン語で「Parturiunt montes, nascitur ridiculus mus.(山々が産気づいて滑稽な鼠が一匹産まれる)」です。ちなみに、産まれたのはハツカネズミです。
英語では、「The mountains have brought forth a mouse.(山々が一匹の鼠を動かした) 」となります。
「大山鳴動して鼠一匹」の蘊蓄
「Parturiunt montes, nascitur ridiculus mus.」から「大山鳴動して鼠一匹」へ
「Parturiunt montes, nascitur ridiculus mus.」(山々が産気づいて滑稽な鼠が一匹産まれる)は、16世紀にキリスト教の伝来とともにわが国に伝えられたイソップの寓話にもとづくものと推定されます。
ラテン語の意味は、
parturient… parturio,parturire(【自動】陣痛を起こしている,出産しようとしている)の3人称複数
montes… mons,-tis(【男】 山)の複数主格
nascetur… nascor,nasci(【動】《形式受動》 生まれる)の3人称単数未来; 主語は mus
ridiculus…【形】おかしな,滑稽な
mus…-ris 【男】ねずみ
です。
イソップ寓話の「山のお産」に、「大山鳴動してネズミ一匹」が出てきます。
「山のお産」
かつて、山が大いに揺れ動いたことがあった。巨大なうなり声が響き渡った。一体何が起こるのか一目見ようと、あらゆる所から、人々が集まってきた。何か恐ろしい大災害が起こるのではないか? と、皆、固唾を飲んで見守った。
が、しかし、出てきたのはネズミ一匹だけだった。
大山鳴動してネズミ一匹
「Parturiunt montes, nascitur ridiculus mus.」は、直訳すれば「山々が産気づいて滑稽な鼠が一匹産まれる」です。それが 「大山鳴動して鼠一匹」という名言になったのは、翻訳者のワザです。
いつ、だれが名言を生んだのか、知見の及ぶ範囲では不明です。(吉見孝夫氏の「『大山鳴動して鼠一匹』考—イソップ寓話とことわざ—」といった論考もあるようですが)
「大山鳴動して鼠一匹」の類義語
「蛇が出そうで蚊も出ぬ(じゃがでそうでかもでぬ)」
蛇が出そうだと大騒ぎしても実際には蚊のような小さなものもでてこないことから、心配するようなことは何も起こらないということ。