教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

ベテラン教師の「衰えしろ」

今朝の新聞に、朝日新聞・潮智史さんのコラムが載っていました。

それはJリーグ開幕に合わせて書かれた「高齢」Jリーガーに関するものでした。

 

 

大ベテランの「衰えしろ」
                  潮智史(編集委員
(前略)
 選手寿命に目を向けると、13年ぶりにJ1に戻った横浜FCの戦いぶりが気になる。52歳の三浦知良(カズ)がいて、41歳の中村俊輔、40歳の南雄太、さらに38歳の松井大輔ら海外経験や代表の実績、一家言もつ顔ぶれがそろう。
 48歳の下平隆宏監督は「気を使って大変でしょ、とよく言われるが、本当にそんなことない」と笑い飛ばす。
 「カズさんのプロフェッショナルな姿勢には、なにもいう必要がない。メンバーに入っても入らなくても、ピッチの内外でチームのために行動する。何より本人が特別扱いを望んでいない」
 昨季、残り6試合となった京都戦で完敗。下平監督はベンチからも外していた中村を先発に戻して、終盤を5連勝で乗り切った「話をしなくても、俊輔は練習から『監督はいま、こういうプレーを求めているでしょ』というプレーを見せてくる」。エゴではなく、チームのために俺はこれができる。使う側はそんな強烈なオーラを日々感じているのだという。あとは「頼りにしている」と伝えるだけでいい。
 「40歳を超えてプレーするには、天井を突き抜けて特別なところにいって振り幅を大きくしておかないと。下にいたら下がない」
 伸びしろならぬ、スピードや体力が落ちていく「衰えしろ」をどれだけ作っておけるか。カズの言葉である。

 

 三浦知良さんといい、中村俊輔さんといい、生きざまがすばらしいです。

 

そんな記事を読みながら、「ベテラン教師の『衰えしろ』」ということを考えました。

 

私自身の退職前は、年下の校長にはうっとうしい存在だろうなと思いながら過ごしていました。それなりに心がけてはいたつもりですが、とてもとても三浦さんや中村さんのようには生きられませんでした。

生活のことを考えれば、退職から年金開始までをどう凌ぐか大問題です。実際には多くの同年配の人は再任用で教壇に立っています。さらにその先には、定年延長も見え隠れしています。

 

つまり、60歳を過ぎて65歳まで、もしかしたら70歳近くまで教壇に立ち続ける時代が訪れようとしているのです。

 

私の実感としては、50歳を過ぎると体力は目に見えて確実に落ちていきます。ましてや60歳を過ぎると…。

それでも、20代、30代の若い教師たちと同等に子どもの前に立たなければなりません。子どもの前に立つ限りは、「今度の先生は年寄りでハズレだった」などと言わせてはなりません。

 

三浦さんの言葉が、心に刺さります。

60歳を超えて教壇に立つには、天井を突き抜けて特別なところにいって振り幅を大きくしておかないと。下にいたら下がない」

「振り幅を大きくする」勝負は30代~40代にあったんだろうなあと、自分の来し方を顧みて思います。私にはもはや打つ手はありませんが、まだ間に合う世代の皆さん、「天井を突き抜けて特別なところにいって振り幅を大きく」する精進をしましょう。

衰えしろ」というのは、自らの20年後への貯金ですよ。