教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

森と湖と実りの大地から ~北海道キャンプ旅行の記録~ ⑫

北海道キャンプ旅行 出発から13日目

1991年8月6日(火)

 
 朝5時過ぎに起きて、朝食のあと、弁当のおにぎりをつくる。好天に恵まれ、登山日和だ。層雲峡温泉の駐車場に車を置き、ロープウェイで黒岳5合目へ。そこからリフトに乗って7合目へ。入山届に記入して、7時8分、登山開始。


 清々しい空気の中を頂上を目指して歩く。ほどなく心地好い汗が浮かんでくる。山小屋で一夜を過ごした登山者が下山してくる。エゾノマルバシモツケ、ウサギギク、ミヤマキンバイ、タイセツトリカブト、エゾニュウ、エゾツツジ、ナガハキタアザミ。頂上までの道中で出会った花たちだ。植物図鑑が重宝した。8合目あたりであったか、突然登山道にエゾシマリスが姿をあらわした。愛らしい仕草で餌を食べていたが、人間が近づいても逃げようとしない。人間に慣れているというよりも、人間の怖さを知らないようだ。ここでは人間も自然界の生物として認知されているらしい。

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エゾノマルバシモツケ

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ウサギギク

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ミヤマキンバイ

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タイセツトリカブト

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エゾニュウ

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エゾツツジ

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ナガハキタアザミ

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エゾシマリス

 

 1時間あまりの登山の後、1984m、黒岳山頂に立った。爽やかな風に吹かれれば、登りのしんどさも吹っ飛んでしまう。それにもまして、山頂から見える大雪山連峰の眺望は感激ものだ。

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黒岳山頂から見る大雪山連峰

 

 しばらく休憩をして、雪渓へ下りる。岩間に花が咲き乱れている。イワギキョウ、エゾハハコヨモギ、イワブクロ、エゾツツジ、コマクサ、タカネシオガマ、エゾツガザクラ、エゾコザクラ、ミヤマキンバイ。名前が確かめられただけでもこれだけある。登ってきて良かったとつくづく思う。

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イワギキョウ

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エゾハハコヨモギ(黄色い花)

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イワブクロ

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コマクサ

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タカネシオガマ

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エゾツガザクラ

 

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エゾコザクラ

 

 雪渓の雪は黒く汚れてはいるが、8月に雪合戦ができるというのもオツなものだ。スコップで掘ってみたが、底には届かなかった。


 雪渓のすぐ先に黒岳石室(山小屋)がある。その先にも一面の高山植物帯があるのだが、我々は少しばかり行ったところで引き返した。その周辺で見かけた花、キタヨツバシオガマチングルマの実、クモマユキノシタ、コマクサ、イワギキョウ、ワタスゲミヤマキンバイアオノツガザクラ

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キタヨツバシオガマ

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チングルマの実

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クモマユキノシタ

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ワタスゲ

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アオノツガザクラ


 さて、再び雪渓から頂上へと向かおうとした時、石の間にナキウサギが姿を見せた。急いで300ミリの望遠レンズをつけてシャッターを切った。動きが素早く幻に終わったかと思えたが、石のあいだに隠れる寸前の姿をしっかりととらえていた。

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ナキウサギ

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ナキウサギ(拡大)

 

 

 頂上に戻って、お弁当のおにぎりを食べた。何の変哲もないおにぎりだが、大きな満足感があった。


 下山後に温泉の共同湯へ行ったが、疲れているだけに格別だった。一旦バンガローに戻って、雨に湿ったテントを干した。そして、上川の町へ食料の仕入れに出かけた。目当てのニジマスはなかったが、すっかりファンになったホッケを買って帰った。夕飯はそいつを焼いて食べた。