小学校のうちに知っておきたい故事成語の第61回は「竜頭蛇尾」です。
「竜頭蛇尾」の読み方
りゅうとうだび
「竜頭蛇尾」の意味
(頭は竜で尾は蛇の意)最初のすばらしい勢いが最後は全くなくなること。出だしはすばらしいが、終りはつまらないこと。頭でっかち尻すぼみ。(広辞苑)
「竜頭蛇尾」の使い方
もうおしまいか。竜頭蛇尾だね。そんな話なら、誉めなけりゃあよかった。(森鷗外『独身』1910年)
「竜頭蛇尾」の語源・由来
「竜頭蛇尾」の出典は、『景徳伝灯録(けいとくでんとうろく)』です。
『景徳伝灯録』の原文が見つかりません。
「スッキリ」のページに紹介されている故事を引用させていただきます。
「竜頭蛇尾」は、中国の『景徳伝灯録(けいとうでんとうろく)』に由来します。
『景徳伝灯録』とは、宋の時代に書かれた仏書のことです。その21巻に、次のように書かれています。
惜しむべし竜頭翻(かえ)って蛇尾と成る
陳尊者(ちんそんじゃ)という僧が、旅の途中で出会ったお坊さんと議論をしました。
このお坊さんは、最初は威勢よく話していました。しかし陳尊者は、「頭は竜のようだが、尾は蛇のようだろう」と考え、彼に少し難しい質問をしました。
すると、お坊さんはそれまでの勢いをなくしてしまいました。
案の定、「竜頭蛇尾」であったというこの話から、「竜頭蛇尾」ができたと言われています。
仏教において、竜は悟りを開く際に守護する神とされていました。
そのため、「竜のようだ」というのはつまり、「悟りを開いている」ということを意味しました。
上記の僧とお坊さんの話のように、もともとは「一見すると悟りを開いているようだが、実際は見掛け倒しだ」といった文脈で使われていました。
しかし、現在では「はじめは盛んで勢いがいいが、終わりは衰えて振るわなくなる」という部分だけが残っています。
「竜頭蛇尾」の蘊蓄
「竜頭蛇尾」の類義語
虎頭蛇尾(ことうだび)
初めは盛んで勢いがよいが、終わりの方になると振るわなくなるたとえ。
羊頭狗肉(ようとうくにく)
見かけが立派で実質がこれに伴わないこと。
「竜頭蛇尾」のの対義語
徹頭徹尾(てっとうてつび)
始めから終りまで。どこまでも。おしとおして。あくまで。