教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

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日本語探訪(その126) 故事成語「単刀直入」

小学校のうちに知っておきたい故事成語の第48回は「単刀直入」です。

 

単刀直入

 

「単刀直入」の読み方

たんとうちょくにゅう

 

「単刀直入」の意味

①ただ一人で敵陣に斬りこむこと。
②余談・前置きをぬきにして、直接に問題の要点に入ること。(広辞苑

 

「単刀直入」の使い方

単刀直入に書いてしまえば、一番簡単だったが(志賀直哉『暗夜行路』1921~37年)
 

「単刀直入」の語源・由来

「単刀直入」の出典は、宋の時代に記された『景徳伝灯録(けいとくでんとうろく)』です。

 

単刀直入すれば、即(すなわ)ち凡聖ことごとく真を表す」

 

「単刀」とは「一振りの刀」もしくは「一人で刀をもつこと」を指し、「直入」とは「直接入ること」すなわち「敵陣に直接突入すること」を指します。つまり「一人で刀をもって敵陣に切り込む」というのが本来の意味でした。ここから転じて、「回りくどいことをせず、直接本題へと入る」という意味になったのです。

 

「単刀直入」の蘊蓄

「単刀直入」に、「一刀両断」にする

一刀両断 (いっとうりょうだん)
①ひとたちでまっぷたつに斬ること。
②断固たる処置をすること。決断の速やかなさまにいう。(広辞苑

 

「単刀直入」に、「一刀両断」にするとは、

「ただ一人で敵陣に斬りこんで、ひとたちでまっぷたつに斬る」こと、

転じて、

「余談・前置きをぬきにして、直接に問題の要点に入り、断固たる処置をする(速やかに決断する)」ことをいうってことになります。

 

「一刀両断」の出典は、『朱子語類(しゅしごるい)』です。


聖人発憤便忘食、楽便忘憂、直是一刀両断、千了百当。


聖人(孔子)の、気持ちを奮い起こすと食べることを忘れ、楽しむときは憂いを忘れて没頭する姿勢を「一刀両断」だと表しています。