小学校のうちに知っておきたい故事成語の第63回(最終回)は「臨機応変」です。
「臨機応変」の読み方
りんきおうへん
「臨機応変」の意味
機に臨み変に応じて適宜な手段を施すこと。(広辞苑)
「臨機応変」の使い方
そんな漁師を臨機応変に見つけ出す能島さんもまた頼もしい人に思われた。(井伏鱒二『黒い雨』1965~66年)
「臨機応変」の語源・由来
「臨機応変」の出典は、『南史(なんし)』「梁宗室伝(なんしりょうそうしつでん)」です。
梁(りょう)がある国を攻めている時、ついに敵を取り囲んだのですが、軍を率いていた梁の王族の一員で王の信頼が厚かった将軍・蕭淵明(しょう えんめい)はしばらく特に動きを見せませんでした。
焦った部下たちは、蕭淵明に対して攻略法を提案します。その時に蕭淵明がいった言葉が、次の一文です。
明、謀略不出、號令莫行。諸將每諮事、輒怒曰、吾自臨機制變。勿多言。
【読み下し文】
明(めい=蕭淵明)、謀略(ぼうりゃく)出(い)ださず、号令(ごうれい)行(おこな)う莫(な)し。諸将(しょしょう)事(こと)を諮(はか)る毎(ごと)に、輒(すなわ)ち怒(いか)りて曰(いわ)く、吾(われ)自(みずか)ら機(き)に臨(のぞ)み変(へん)を制(せい)す。多言(たげん)すること勿(な)かれ、と。
「吾自臨機制變。勿多言。」
【現代語訳】
「私は自分でしっかり状況把握し、その時その時の変化に対応して的確な判断を下す。黙って見ておれ!」
「臨機応変」の原典は「臨機制変」です。
「臨機応変」の蘊蓄
「臨機応変」の類義語
当意即妙(とういそくみょう)
その場にうまく適応したすばやい機転。当座の機転。仏語の「当位即妙」(何事もそのままで妙なるはたらきを現ずること)から。(広辞苑)
融通無碍(ゆうずうむげ)
一定の考え方にとらわれることなく、どんな事態にもとどこおりなく対応できること。(広辞苑)
「臨機応変」の対義語
杓子定規(しゃくしじょうぎ)
一定の標準で強いて他を律しようとすること。形式にとらわれて応用や融通のきかないこと。(広辞苑)
四角四面(しかくしめん)
至極真面目なこと。極めてかたくるしいこと。(広辞苑)