裳階(もこし)とは、 仏堂・仏塔などの軒下壁面に取り付けた 庇 (ひさし) 状の構造物のことをいう。
「裳」は、古代、腰から下にまとった衣服の総称で、「したばかま」ともいう。「階」は多層の建物の一つの層のこと。五重塔にとって裳階は「したばかま」のような層ということになる。
法隆寺金堂と五重塔の裳階は、1層の屋根の重みを支える「つっかい棒」である。本来ならばない方がいい「つっかい棒」が必要になったのは、平行垂木という構造による。ーーということは、以前に書いた。
世界遺産学習 法隆寺(その14)裳階 - 教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-
私の作った構造模型は、屋根と裳階をほぼ省略したものだった。今回は、それをきちんと整えようという算段である。
1層の屋根裏の写真である。
垂木が見えている。実物は4寸(12cm)×5寸(15cm)の角材で、いまどきの一般住宅の柱よりも太い。当然、重い。
垂木は「桁(けた)」に打ちつけられるが、端の方(下の写真では左部分)には桁がない。この部分は「隅木(すみき)」に取り付けられている。そして、それらの重量はすべて「隅木」にかかる。さらには、隅部分の軒は他の部分の1.4倍の広さがある。そのため隅木を支える組物が支えきれず、隅木の下にある「尾垂木(おだるき)」を支えるつっかい棒を作ったのである。写真では中央やや下から右に見える角材が「尾垂木」で、その下の丸棒が仏像部分だ。
「つっかい棒」としては、尾垂木を支える4本の柱で十分である。それは、下の写真を見ても明白だ。
しかし、それではあまりに不格好と思ったのだろう。4本の柱を生かして、囲いを作った。当初は天井もない構造物だったようだ。
裳階の板張りの庇は柱に取り付けられた組物で支えている。私もそれらしく作ってみたのだが、はて、組物をどうやって柱に取り付けるか。あれこれ思案の結果、足場を組んで支えるしかないと思い至った。庇の傾斜に合う高さの台を作って、それに乗せるようにした。
そうして出来上がった裳階がこれ。
1層屋根で、両端の長い角材が「隅木」。垂木の間に透けて見える2段の角材が「桁」で、この写真だと中央部の垂木が桁に乗っかっているのが分かる。