教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

世界遺産学習 法隆寺(その13)五重塔の構造

五重塔の構造

 

法隆寺五重塔の構造については、「濃尾・各務原地名文化研究会」HPの記事を引用して紹介します。(同研究会のコンテンツは「複製、編集、加工、翻訳等、自由に利用」可です。なお、同記事中に使用されているイラストは、『法隆寺』に掲載されているものです。)

 

何故、五重塔は倒壊しなかったのか

Ⅰ.仏塔の歴史 (略)

Ⅱ.法隆寺五重塔の組立てと構造
1) 心柱を立てる。 (略)

2) 四天柱と側柱
 心柱の立上げが終わると、足場を組んで、いよいよ一重目に取り掛かります。 内側四隅の四天柱と、その外側に12本の側柱を立てて、頭貫で先端を繋ぎます。更に側柱の上には台輪が取り付けられます。 縦長の断面の頭貫と横長の台輪の組み合わせで、より堅固な構成になっています。
 実際には、上に繋げるべきもう一本の心柱が、四天柱の内側に仮置きされます。

 

3) 力肘木(ちからひじき)と 通肘木(とおしひじき)
 頭貫や台輪の上に雲形組物を介して力肘木と、それに直交するように一段目の通肘木が取り付けられます。 力肘木は小屋組を支える水平材(横架材)で、反対側の側柱まで繋げていることから「繋肘木」とも呼ばれます。

 

 部材の結合部は、組物を介して、できるだけ荷重を分散させるように組まれていきます。 それは、単純な斗(ます)だけでしたり、水平材が交差するときなどでは斗と肘木を様々に組み合わせた「組物」を介します。
4) 小屋組み

 



 下部斜め材の尾垂木を載せるために3列の横材を力肘木の上に組みます。 外側の側柱上方に斗を挟んで2本の通肘木を、次に束を立てて通肘木を、最後に四天柱上方に四天枠を取り付けて尾垂木を載せます。 最も内側の四天枠は井桁に組みます。尾垂木は四天枠の手前までですが、四隅は四天枠の奥まで延ばされています。 



5) 一重目の骨組み完成
 上部斜め材の垂木を打ち付けるために、再度、三列の横材が尾垂木の上に組まれます。 最も外側は、力肘木の先端と尾垂木の先端の間に、斗と雲肘木の組物を介して出桁を載せます。 次は側柱上方で、通肘木、斗の上に側桁を載せます。最後は、最奥の通肘木上方に斗を挟んで入側桁を載せます。 垂木はこの3本までですが、四隅の隅木は、四天枠の上に束を介して、再び井桁に組んだ2段目の四天枠まで延びています。 垂木とその先端を整える茅負は釘で打ち付けます。最後に屋根板を打ち付けて一重目が完成です。 

(私作の構造模型です。最上部の井桁組を取り除くと、上のイラストと同じになります。この井桁は2層目の最下部です。2層目は1層目の「隅の尾垂木」の上に乗りますが、乗る位置は「出桁」と「入出桁」の間になります。そうすることで、「隅の尾垂木」にかかる屋根の重さ〈下端では下方向のG、上端では上方向のGとして作用〉と2層目の重さ〈下方向のGとして作用〉のバランスを保っています。)



6) 相輪と屋根瓦

 


 一重目が完成すると、ほぼ同じように二重目、三重目へと組み上げていきます。 五重目が完成すると、五重目の小屋組の中央に露盤という、心柱と屋根とを結合させる相輪の土台を仮置きします。 そして、相輪を取り付けるための足場を組むのです。 足場が組まれると心柱の上側のもう一本を露盤の穴に通しながら引き上げ、2本を継手結合させます。 その結合部には40センチ程の大釘を打ち込み、その四方を添え板で完全に固定します。 次に露盤を固定してから、相輪のパーツを下から順に先端から通していきます。 相輪が完成したら、足場を外し、各重の側面と屋根瓦を仕上げていきます。 瓦は、置きだめの時も葺く時も、四方とのバランスに注意しながら進められます。 こうして、今度は上の重から順に下へ作業していきます。