教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

「1ヶ月で勝負」したクラスの記録④

■「1ヶ月で勝負」したクラスの記録■その3

 

6年生のスタートから2週間、4月21日の学級通信です。

 

■四月十九日 なかなか決まらない学級会■KZ
 六時間目に、少しだけ学級会をしました。決めることは、一年生を迎える会でするしっぽ取りゲームにだれが参加するかということです。「何か意見はありませんか。」私がそう言いました。けれど、だれも手をあげてくれませんでした。でも、二人だけ意見を言ってくれました。けれど、その後は何も意見もなく、静かになってしまいました。何をしゃべったらいいのか分からなくなってしまいました。それで、yosh-k先生がこれはどうしたらいいと思いますかなど言ってくれて、ほとんどyosh-k先生にたよってしまいました。今回の学級会は、だまってしまいなかなか進まず、明日までにどうしたらいいか考えてくるということになりました。次の学級会は、だまらないようにしたいです。学級委員になったとき、学級会の司会を上手にしたいと思っていたので、今度は絶対だまらないで上手にしたいと思います。


■四月十九日 昼休みのyosh-k先生■IN
 今日の昼休みに、みんなで一輪車に乗っていると、向こうの方からyosh-k先生が二年生の人とおにごっこをしているのを見つけました。ずっと見ていたら、yosh-k先生が二年生にタッチをされて、おにになりました。するとyosh-k先生が、「わああ。」と言って二年生の方に走って行ったので、私たちは笑っていました。

 

 6年生になって2週間が過ぎました。まだまだ雑然としていて形にはならないけれど、一生懸命に生きようとするエネルギーがあちらこちらで芽吹いています。きみたちの瞳がとてもきれいです。わくわくするような2週間でした。
 25日の1年生を迎える会、みんなの力で成功させましょう。 

 

 

4月26日の学級通信です。

 

春の陽射しの中で…


■四月二十二日 旗作り■OI
 今年は私たちが縦割り班の班長なので、それの旗作りをしました。まず、去年の六年生が作った旗をぼうからとることから始まりました。…やっとのことで取り終わって、新しい旗のデザインにとりかかりました。マジックで書いたらもう書き直せないので、私は、「もう書いたら最後やよなあ。何色にしようかな。」と心の中で思いました。「そう言えば、五年が、『グループの名前がスターウォーズやねんから、宇宙っぽくしてや。』って言ってたっけ。」そう思い、班の数字の十三の外側を青のマジックでふちどりし、黄色のマジックで中をぬりました。それから班の名前を書き、メンバーの名前を書きました。そうしてできあがった時、私は、「自分が班長なんだな。」と、改めて実感しました。これから一年間、十三班の班長としてがんばりたいと思いました。


■四月二十二日 友だちって何だ■HM
 家に帰って、寝る時によく思うことがある。それは、人はなぜ他人とじゃれ合うんだろうと思う。大体、なぜ友だちというものが存在するんだろう。他人との関係など、ただの知り合いかそれとも敵とした方がよっぽど楽だと思う。でもそれをもっと深く考えると、感情とは何だろうと思って、二年生の頃からいろいろとためしていると、変なふうに言われるからめんどうだと思う。(以下略)


■四月二十二日 ドッジビー■KB
 今日、二時間目にドッジビーをみんなでしました。五年生の時もしたことがあるけど、なにかみんなちがう感じでした。五年生の頃は、静かでしいんとしていました。それが、今日やってみれば、とってもワイワイしていて、とても楽しかったです。また今度体育する時も、ドッジビーをしたいです。


■四月二十二日 なつかしい場面■UN
 ぼくが三年生の時、yosh-k先生に写してもらったCDを、お兄ちゃんといっしょに見ました。内容は、体育館での発表でした。つげの子集会で、金子みすずさんの「私と小鳥とすずと」の発表でした。お母さんが、「あれ、yosh-k先生は。」と聞いたので、ぼくは、「先生、ビデオを写しているで。」と言いました。またもやお母さんが、「今とちがって、みんなかわいい顔してるな。」と言っていました。

 

 ずうっと同じ教室で過ごしていると友だちのことならなんだって知っているように思うけれど、実は知らないことの方がはるかに多いのですね。
 HMくんは、言葉や行動の裏側で、友だちということを深く考え続けています。
 日曜日の過ごし方だって、人によってさまざまです。UNくんは、自然の中に身を置くと、とてもすてきな詩人になります。
 春の陽射しの中で日記を読みながら、教室の中だけでは分からない一人ひとりのことを、もっと知りたいなあと思っています。

 

雰囲気は悪くないし、一人ひとりが何とかしようとしている。でも、何かが足りないのです。

HNくんは少々とんがった子で、友だちづきあいも上手とは言えません。彼が書いた4月22日の日記が、2学期以降のこのクラスの重要なテーマになります。

 

4月25日、1年生を迎える会。 

4月27日の学級通信です。

1年生を迎える会を終えて


■一年生を迎える会■SG
 一年生の入場から、この会の幕開けです。入場の時、なかなかみんなが言ったことを守らないで、そろえるのに時間がかかりました。その時私は、こんなんでこれからのプログラム大丈夫かなと思いました。そんなことを思っているうちに、「SGさんから、はじめの言葉。」と言われて、不安と緊張とで言葉が変になってしまい、もどるとみんなで笑っていました。そして、二年生から五年生の出し物が終わり、いよいよ六年生のしっぽ取りゲームです。六年生を送る会の時よりは、しっかりと言うことを聞いてできていました。ですが、ザワザワという話し声だけはあまり変わっていないと思いました。やっぱりしっぽ取りゲームは難しいということが、しっかりとわかりました。長いようで短かった一年生を迎える会でした。


■四月十九日 CD■SM
 今日、家に帰ると、CDをさがした。小さい、低学年ぽいヤツ。見つけたけど、合唱団の歌だった。聞いてみると、ううんとなやんだ。まあいいか。聞いたことのあるのがけっこうあった。「しあわらなら手をたたこう」とか「グリーングリーン」「キラキラ星」「シング」「ドレミの歌」とかいっぱいあった。でも、絶対使わないと思うなあ。


■一年生を迎える会■I
班長さんは、自分の班を決められた場所に誘導してください。」と、私が言いました。でも、みんな打ち合わせ通りにいかなくて、バラバラになってしまいました。が、なんとかみんな考えてくれて、乗り切れました。それぞれの学年の出し物が終わり、いよいよ六年生の出し物です。とは言っても、私たち児童会は見ているだけでした。一年生を迎える会が終わって、私はみんなで協力することの大切さと、人の話を聞くことの大切さがよくわかったような気がします。

 

 1年生を迎える会が終わりました。思い通りにいかないところもありましたが、6年生のみんなが力を出し合った最初の行事としては、成功だったと思います。


 ぼくは、今回のことから2つのことを学び合いたいと思います。児童会役員の人たちは、この日のために多くの時間を使って準備してきました。本番では使わなかったものも含めて、十分すぎるほどの準備を重ねてきました。リーダーの仕事は、本番を迎えるまでの時間が勝負なのです。これが第1の教訓です。


 しかし、どれほど準備をしていても、本番でのアクシデントはつきものです。そのとき、なんとか乗り切るためのとっさの知恵と行動力が必要なのです。そして、この知恵と行動力は、一人ひとりが自分の力を出し合って成功させようという思いの中から生まれるものなのです。これが第2の教訓です。


 成功はみんなの財産、課題は次へのエネルギー源。期待しています。 

 

 

行事は子どもたちを成長させてくれる好機です。勝負の場では、とりわけ子どもが飢えているときのそれにおいては、絶対に失敗させてはいけません。そのために私は徹底した準備とシミュレーション練習を課します。どんなに小さくてもいいのです。そこで得た成就感・達成感の分だけ子どもは成長します。