教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

安倍教育改革の遺したもの(その5)

教員免許更新制の導入①

 

教員免許更新制は、第1次安倍政権の2007年6月27日に公布された「教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律」(平成19年法律第96号) によって、教育職員免許法(昭和24年法律第147号)を改正施行することによって実施されました。

 

教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律」と、改正された教育職員免許法は次のようなものです。

 

職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律

法律第九十八号(平一九・六・二七)

  ◎職員免許法及び教育公務員特例法の 一部を改正する法律

 (教育職員免許法の一部改正)

第一条 教育職員免許法(昭和二十四年法 律第百四十七号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第九条の二」を「第九条の 五」に改める。

(中略)

  第九条の次に次の三条を加える。

   ※「第九条の二」「第九条の三」「第九条の四」を参照のこと

 

 

教育職員免許法 (昭和二十四年五月三十一日法律第百四十七号)

第九条 普通免許状は、その授与の日の翌日から起算して十年を経過する日の属する年度の末日まで、すべての都道府県(中学校及び高等学校の教員の宗教の教科についての免許状にあつては、国立学校又は公立学校の場合を除く。次項及び第三項において同じ。)において効力を有する


2 特別免許状は、その授与の日の翌日から起算して十年を経過する日の属する年度の末日まで、その免許状を授与した授与権者の置かれる都道府県においてのみ効力を有する。


3 臨時免許状は、その免許状を授与したときから三年間、その免許状を授与した授与権者の置かれる都道府県においてのみ効力を有する。


4 第一項の規定にかかわらず、その免許状に係る別表第一から別表第八までに規定する所要資格を得た日、第十六条の二第一項に規定する教員資格認定試験に合格した日又は第十六条の三第二項若しくは第十七条第一項に規定する文部科学省令で定める資格を有することとなつた日の属する年度の翌年度の初日以後、同日から起算して十年を経過する日までの間に授与された普通免許状(免許状更新講習の課程を修了した後文部科学省令で定める二年以上の期間内に授与されたものを除く。)の有効期間は、当該十年を経過する日までとする。


5 普通免許状又は特別免許状を二以上有する者の当該二以上の免許状の有効期間は、第一項、第二項及び前項並びに次条第四項及び第五項の規定にかかわらず、それぞれの免許状に係るこれらの規定による有効期間の満了の日のうち最も遅い日までとする。


(有効期間の更新及び延長)
第九条の二 免許管理者は、普通免許状又は特別免許状の有効期間を、その満了の際、その免許状を有する者の申請により更新することができる


前項の申請は、申請書に免許管理者が定める書類を添えて、これを免許管理者に提出してしなければならない


3 第一項の規定による更新は、その申請をした者が当該普通免許状又は特別免許状の有効期間の満了する日までの文部科学省令で定める二年以上の期間内において免許状更新講習の課程を修了した者である場合又は知識技能その他の事項を勘案して免許状更新講習を受ける必要がないものとして文部科学省令で定めるところにより免許管理者が認めた者である場合に限り、行うものとする。


4 第一項の規定により更新された普通免許状又は特別免許状の有効期間は、更新前の有効期間の満了の日の翌日から起算して十年を経過する日の属する年度の末日までとする。


5 免許管理者は、普通免許状又は特別免許状を有する者が、次条第三項第一号に掲げる者である場合において、同条第四項の規定により免許状更新講習を受けることができないことその他文部科学省令で定めるやむを得ない事由により、その免許状の有効期間の満了の日までに免許状更新講習の課程を修了することが困難であると認めるときは、文部科学省令で定めるところにより相当の期間を定めて、その免許状の有効期間を延長するものとする。


6 免許状の有効期間の更新及び延長に関する手続その他必要な事項は、文部科学省令で定める。


(免許状更新講習)
第九条の三 免許状更新講習は、大学その他文部科学省令で定める者が、次に掲げる基準に適合することについての文部科学大臣の認定を受けて行う。


講習の内容が、教員の職務の遂行に必要なものとして文部科学省令で定める事項に関する最新の知識技能を修得させるための課程(その一部として行われるものを含む。)であること


二 講習の講師が、次のいずれかに該当する者であること。


文部科学大臣が第十六条の三第四項の政令で定める審議会等に諮問して免許状の授与の所要資格を得させるために適当と認める課程を有する大学において、当該課程を担当する教授、准教授又は講師の職にある者


ロ イに掲げる者に準ずるものとして文部科学省令で定める者


三 講習の課程の修了の認定(課程の一部の履修の認定を含む。)が適切に実施されるものであること。


四 その他文部科学省令で定める要件に適合するものであること。


2 前項に規定する免許状更新講習(以下単に「免許状更新講習」という。)の時間は、三十時間以上とする。


3 免許状更新講習は、次に掲げる者に限り、受けることができる。


一 教育職員及び文部科学省令で定める教育の職にある者


二 教育職員に任命され、又は雇用されることとなつている者及びこれに準ずるものとして文部科学省令で定める者4 前項の規定にかかわらず、公立学校の教員であつて教育公務員特例法 (昭和二十四年法律第一号)第二十五条の二第一項 に規定する指導改善研修(以下この項及び次項において単に「指導改善研修」という。)を命ぜられた者は、その指導改善研修が終了するまでの間は、免許状更新講習を受けることができない


5 前項に規定する者の任命権者(免許管理者を除く。)は、その者に指導改善研修を命じたとき、又はその者の指導改善研修が終了したときは、速やかにその旨を免許管理者に通知しなければならない。


6 前各項に規定するもののほか、免許状更新講習に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。


(有効期間の更新又は延長の場合の通知等)
第九条の四 免許管理者は、普通免許状又は特別免許状の有効期間を更新し、又は延長したときは、その旨をその免許状を有する者、その者の所轄庁(免許管理者を除く。)及びその免許状を授与した授与権者(免許管理者を除く。)に通知しなければならない。


2 免許状の有効期間を更新し、若しくは延長したとき、又は前項の通知を受けたときは、その免許状を授与した授与権者は、その旨を第八条第一項の原簿に記入しなければならない。

 

(二種免許状を有する者の一種免許状の取得に係る努力義務)
第九条の五 略

 

 

法律から読み取れることが2つあります。

 

1つは、教員免許更新制の目的に関するものです。

免許状更新講習の項で「講習の内容が、教員の職務の遂行に必要なものとして文部科学省令で定める事項に関する最新の知識技能を修得させるための課程(その一部として行われるものを含む。)であること。」と述べていることから、教員に「最新の知識技能」を「習得」させるという目的が読み取れます。

 

もう1つは、教員免許更新制のねらいに関するものです。

制度導入が検討されていた頃、「不適格教員」の排除のためという議論がありました。

ところが、法律では「指導改善研修を命ぜられた者は、その指導改善研修が終了するまでの間は、免許状更新講習を受けることができない。」となっていて、「不適格教員」は受講できない制度になっています。ねらいが変更されたのではないかということが読み取れます。

 

次回はこのあたりを検証します。