年金はペンション
「日本年金機構」の英語表記を見ると、「Japan Pension Service」となっています。「年金」=「pension」です。
「pension」は、カタカナ表記すると「ペンション」。
「ペンション」は、お馴染みの西洋風民宿です。
「ペンション」=「年金」=「西洋風民宿」???
どういうこと???
英語の「pension」は、もとはフランス語の「pension」で「パンシオン」と発音します。フランス語の「pension(パンシオン)」は、「年金」という意味です。
さて、フランスのパンシオン生活者の中には、自宅の空き室を使って簡易宿泊業を営む人たちがいました。そしていつしか、パンシオン生活者の営む宿泊施設を「パンシオン」と呼ぶようになりました。
この宿泊施設の形態が日本に入ってきます。
第1号となったのは、1969年に群馬県草津で開業した綿貫(わたぬき)パンシオンです。このとき、パンシオンでは発音しにくいため、英語読みのペンションの表記が採用されました。それが「綿貫ペンション」です。
以来、日本においては、「ペンション」は西洋風民宿を指す言葉として定着していきます。
英語の「pension(ペンション)」はフランス語の「pension(パンシオン)」が語源ですが、「年金」だけを指します。「宿泊所」の意味は含みません。
西洋風民宿を指す言葉としての「pension(ペンション)」は、日本国内でのみ通じる和製英語です。
アメリカに旅行して、
「Where is the Pension?」
と尋ねたら、聞かれた方のアメリカ人は、???
「『年金はどこにありますか』だって? お前の年金のことなんか知らねえよ」
ってなことになります。
ちなみに、「Pension」の箇所には、「Bed and Breakfast」( 略して 「B&B」)や「Cottage」「Lodge」などの単語が入ります。
ところで、日本のペンションブームは終わったのでしょうか。
かつて、長野県白馬村にいくつもの「ペンション街」がありました。最近訪れてみると、閉鎖している所もありますし、営業していても食事なしの宿泊施設になっている所が多くありました。それもインバウンド頼みのようです。
「ペンション」の未来も、「年金」の未来と同様に、あまり明るくないのでしょうか。