教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

きょうは何の日 10月13日

国際防災の日

 

国際防災デーは、自然災害の軽減を目的とした国際デーで、1989年より毎年10月の第2水曜日に定められていました。2009年の国連総会で10月13日と変更されました。

 

日本赤十字社」HPに掲載されている「国際防災の日に寄せて」(2021年10月15日)より紹介します。

国際防災の日に寄せて
                         2021年10月15日

データから見る災害の昔と今
コロナ禍でも猛威を振るう災害に対して、各国では防災・減災に取り組む必要性がますます高まっていますが、途上国では施策に必要な資金の不足が課題になっています。国際赤十字・赤新月社連盟が発表した「世界災害報告2020」では、熱波や洪水などの異常気象や気候変動が原因と考えられる自然災害の発生件数が、1990年代から現在に至るまでおよそ35%上昇し、過去10年間に41万人を超える人びとの命が失われた事実に警鐘を鳴らしています。そして、メディアで取り上げられるような大規模災害に比べると資金の集まりにくい、地道な防災・減災への取り組みに対するより一層の支援を呼び掛けています。

同報告書によると、過去10年間で人びとの命を奪う原因となった災害の種別は、地震(約26.8万人)、干ばつ(約25.8万人)、高温(主に熱波)(約7.5万人)と続きます。災害による「死者数」は世界的に見て減少傾向にあり、過去10年で100万人減っています。1960年代から実に6倍に膨れ上がった災害の発生件数を考えれば、この結果は、これまでの防災・減災対策が有効であったことを示す希望の光と言えるかもしれません。

一方で、世界的には災害による「被災者数」は増大傾向にあります。1960年(約280万人が被災)から始まった統計をもとに計測した結果、2002年に被災人口が最大約6.6憶人に達しましたが、直近の2019年には減少に転じました(それでもこの年の被災者数は約9,800万人に上った)。被災者数の統計を見ると、死者数とは違った災害の特徴が見て取れます。それは、洪水、干ばつ、そして暴風という3つの災害が全体の95.5%を占めていることです。そして災害で被災したり、気候変動の影響が対応能力を超えるとき、人びとの暮らしは一変せざるをえません。例えば、雨季の時期が変わった、過去に経験のない場所で洪水があったといったことが原因で、同じ生活圏で農業や牧畜などを続けることが出来なくなる場合もあります。世界銀行(World Bank)の悲観的シナリオに基づく試算(2018年)では、2050年までに最大1億4300万人の人びとが、住み慣れた土地を離れざるをえない状況に直面するとしています。

さらに、世界保健機関(WHO)は、2030年から2050年にかけて気候変動の影響により、直接的・間接的に引き起こされる、熱中症や栄養失調、下痢疾患などの保健課題によって、新たに25万人の人びとの命が失われると推計しています。この数には、気候変動が引き起こすより直接的な洪水などの自然災害の被災者数を含まないことを考えると、気候変動があらゆる面で大きな脅威となることが改めて浮き彫りとなります。

 

どこで何が起きているのか
私たちの暮らすアジア地域は、災害が世界で最も多いことがわかっています。過去10年間の統計では、アジアの災害発生件数が全体の46%(1,305件)を占め、次いでアフリカ大陸22%(622件)、アメリカ大陸22%(620件)、ヨーロッパ7%(212件)、オセアニア3%(110件)と続きます。では、地域ごとにどのような災害が多くなっているのでしょうか。アジアは災害発生件数全体の48%を洪水が占めています。そのほか暴風や地滑りの割合が高い地域です。一方で、森林火災はその40%以上が全てアメリカ大陸で起きています。また世界で起きる干ばつのほぼ半数(49.5%)はアフリカ大陸で起こっています。さらに深刻な事実は、気候変動の影響を最も受けやすいとされている上位60か国中、46か国が長引く紛争の影響で国自体が極めて脆弱とされる国々なのです。