教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

きょうは何の日 10月16日

世界食糧デー

 

1945年10月16日に国連食糧農業機関(FAO)が創設されたことを記念し、毎年10月16日は、世界の食料問題を考える日として、国連により1981年から「世界食料デー」として定められています。

これは、飢餓に苦しむ人々、全ての人々に健康的な食事を確保する必要性について、世界的な意識喚起と行動を促す国連の記念日であり、世界の一人ひとりが協力し合い、世界に広がる栄養不良、飢餓、極度の貧困を解決していくことを目的としたものです。

                         (農林水産省HPより)

 

世界食糧デーに際して考えたい日本の課題として、「食品ロス」の問題があります。

環境省のHPより引きます。

食品ロスは、どれくらい発生しているの?
食品ロスとは、本来食べられるにも関わらず捨てられてしまう食べ物のことです。
日本では令和2年度に、約522万トンの食品ロス(家庭から約247万トン、事業者から約275万トン)が発生したと推計されています。
国による発生量の推計のグラフ

国による発生量の推計のグラフ

家庭で発生する食品ロスには、どのようなものがあるの?
家庭で発生する食品ロスは、大きく3つに分類されます。
1. 食卓にのぼった食品で、食べ切られずに廃棄されたもの(食べ残し)

食べ残

2. 賞味期限切れ等により使用・提供されず、手つかずのまま廃棄されたもの(直接廃棄)

直接廃棄

3. 厚くむき過ぎた野菜の皮など、不可食部分を除去する際に過剰に除去された可食部分(過剰除去)

過剰除去

 

世界の課題としては、「栄養不良、飢餓、極度の貧困」の問題があります。

栄養不良

日本ユニセフ協会」のHPより紹介します。

特集:栄養不良 子どもの未来は栄養が握っている
栄養不良は食べ物が不足していることだと思われがちですが、 単に量が不足しているということではなく、必要な栄養が不足していることなのです。 身体の成長に欠かせないたんぱく質や、免疫力をつけるビタミンAなどの栄養素が足りないと、風邪や下痢などごくありふれた病気が原因で命を落とす危険が高まります。 そして、知らず知らずのうちに子どもの知能の発達を遅らせることさえあるのです。 目に見えにくく、ひそかに子どもたちの未来と命を脅かす・・・・。栄養不良の恐ろしさはそこにあります。

その死の原因の53%が栄養不良に深く関わっています。

 

飢餓

「ハンガー・フリー・ワールド」のHPより紹介します。

飢餓とは
 
飢餓とは、慢性的な栄養不足になること。
世界の飢餓人口は最大8億2800万人。10人に1人が飢餓に苦しんでいます。


・飢餓とは、長期間にわたり食べられず栄養不足となり、生存と生活が困難になっている状態
・生命の維持だけでなく、健康で社会的な活動を行えるかが基準
・摂取したカロリーだけでなく、栄養素などの「質」も重要

飢餓とは、長期間にわたり十分に食べられず、栄養不足となり、生存と社会的な生活が困難になっている状態をさします。国連食糧農業機関(FAO)では栄養不足を、「十分な食料、すなわち、健康的で活動的な生活を送るために十分な食物エネルギー量を継続的に入手することができないこと」としています。最低エネルギー必要量は、年齢や体格だけでなく、活動水準、病気をしているかどうか、妊娠や授乳中かどうかなどによって決まります。
また、たとえ食べている食事の量は十分でも、ビタミンA、鉄、ヨウ素といった生命の維持に不可欠な微量元素やビタミンの欠乏も、さまざまな病気につながり、心身の正常な機能を損ないます。例えば、鉄の欠乏は貧血を引き起こし、妊産婦の健康や乳幼児の発育に影響します。ヨウ素の欠乏は甲状腺に異常を起こします。

 

突発的な飢饉と慢性的な飢餓
・突発的な飢饉とは、一時的に食料が不足してたくさんの人々が栄養不足に陥ること。緊急食料支援が必要
・慢性的飢餓とは、継続的に食料を手に入れられずに慢性的に栄養不足に陥ること。自立の支援が必要


飢餓は、地域や引き起こされる原因や期間によって、飢饉と慢性的飢餓の2つに大きく分けられます。 飢饉は、特定の国や地域で起こる干ばつや洪水などの自然災害、紛争などの突発的な原因によって起こります。食料が急激に不足し、たくさんの人々が餓死し、重度の栄養不足に陥ります。原因が緩和・解決されるまでの一定期間、緊急に食料を支援することが必要ですが、ニュースで取り上げられることが多いため、世界中から注目が集まります。
一方で、栄養不足人口のほとんどを占めるにもかかわらず、世界から比較的注目されることが少ないのが慢性的な飢餓です。農業の生産性が低い、雇用賃金が安いなどの地域の課題だけではなく、不公正な貿易のしくみのような地球規模での課題も原因です。政治、教育、環境などさまざまな要因が組み合わさっていることや、直接の死因が餓死ではなく栄養不足による病死であることから、緊急性に乏しく解決が後回しにされがちです。そのため多くの人々は、いつまでも十分に食料を手に入れることができず、栄養不足の状態が続きます。必要な支援は、将来にわたり自分で食料を手に入れることができるよう自立を支援することと、根本的な課題を解決することです。

 

飢餓がもたらす影響


世界の5歳未満児の死亡原因の約1/2に栄養不良が関係
栄養不良は生涯にわたって人々の生活に影響を及ぼす


飢餓に最も影響を受けるのは、開発途上国に住む貧しい人たちです。なかでも、成長期の子どもたちが受ける影響は深刻です。
世界の5歳未満児の死因を見てみると、全体の約1/3が簡単で安価な治療費で治すことができる肺炎や下痢、マラリアなどとなっており、死因の約半数に栄養不良(栄養や栄養素の不足などによって健康が損なわれること)が関係しています。つまり、世界では救えるはずのたくさんの命が、飢餓によって失われています。また、命を落とさないまでも、栄養不良は子どもの発育を妨げ、大人になっても十分に働くことができなかったり、知的障害を引き起こしたりします。子どもを妊娠、出産する女性が十分な栄養をとることも、生まれてくる子どもの成長やその後の発育に影響を与えるため重要です。
このように飢餓は生涯にわたって人々の生活を左右する深刻な問題なのです。

 

貧困

セーブ・ザ・チルドレン」のHPより貧困の定義について紹介します。

貧困とは何か
国際貧困ライン
「貧困」とは、どのような暮らしのことを指すのでしょうか。さまざまな定義がありますが、国際的には、世界銀行が定義する「1日を1.90ドル未満で過ごす人」が、「極度の貧困状態」に置かれた人たちとされ、そうした状態の暮らしが「絶対的貧困」と言われます。1990年に初めて定義された時には、1日1ドル未満が基準となっていましたが、衣食住などにかかる生活費の上昇を踏まえ、定期的に見直されています。

一方、国によって最低限の生活を送るために必要な所得は異なります。そこで「所得が国民の中央値の半分に満たない人」、つまりその国に住む多くの人たちよりも所得が少ない状態のことを「相対的貧困」と呼びます。日本など経済的に発展している国で問題になる貧困は「相対的貧困」であることが多いです。

また、所得以外の基準で貧困を捉える試みもあります。1976年に国際労働機関(ILO)が提唱したベーシック・ニーズ・アプローチでは、衣食住の充足だけでなく、水・衛生、公共交通、保健、教育といった基礎的な社会サービスを利用でき、雇用や社会参加が保証されている生活を「(人間の基礎的なニーズが満たされている)最低限の生活水準」としています。

日本ユニセフ協会」のHPより紹介します。

子ども6人に1人が極度の貧困で暮らす
       ユニセフ世界銀行による分析

2020年10月20日ニューヨーク/ワシントンD.C.

 

推定6人に1人、世界で3億5,600万人の子どもたちが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以前の段階で、極度の貧困の中で暮らしていました。ユニセフ(国連児童基金)と世界銀行グループの新たな分析によれば、この状況が著しく悪化する可能性があります。

 

6人に1人の子どもが生きるだけで精一杯

「世界の経済的貧困状態にある子どもたちの推計:最新情報」(原題:Global Estimate of Children in Monetary Poverty: An Update)によると、極度の貧困を表す国際基準である1日1.90米ドル未満で生活する子どもの3分の2を、社会的セーフティネットが限られているサハラ以南のアフリカの子どもが占めています。南アジアは、こうした子どもたちの5分の1近くを占めています。

分析によると、極度の貧困の中で暮らす子どもの数は、2013年から2017年の間に2,900万人減少しました。しかし、ユニセフ世界銀行グループは、ここ数年間の進展は非常に遅く、また不均等で、パンデミックの経済的影響を受けるリスクがあると警鐘を鳴らしています。

「6人に1人の子どもが極度の貧困の中で暮らしているということは、6人に1人の子どもが生きるだけで精一杯の状況だということです」とユニセフのプログラム局長、サンジェイ・ウィジェセケラは述べました。「この数字だけでも誰もがショックを受けるはずです。そして、パンデミックによってもたらされた経済的苦難が事態をさらに悪化させるだろうことを、私たちは知っています。各国政府は、数え切れないほど多くの子どもたちとその家族が、長い間見られなかったようなレベルの貧困に陥るのを防ぐために、子どもたちのための改善計画を早急に必要としています」