教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

元小学校教員による小中連携授業③ テストの片付け方教えます

2019年度、地元の中学校の1年生を対象に行った元小学校教員による小中連携授業の記録です。
ゲストティーチャーという位置づけで、総合的な学習の時間のコマを使って年間15回の「授業」を行いました。


第3回 テストの片付け方教えます

第3回は中間テスト返却後に実施しました。
小学校では返してもらったテストを単にファイルに綴じているだけというのがほとんどです。中学校の生徒に期待する定期テストの後処理をテーマにしています。

 

今回の内容は、放課後学習教室2年目の2017年度1学期中間テスト後に配布したプリントがベースになっています。「授業」に使ったスライドとプリントを併用してすすめていきます。


■テストを返してもらったら…

f:id:yosh-k:20200508091328j:plain

テストを返してもらったら、分からなかった問題や間違えた問題(略して×問題)について次のことを確認しておきましょう。

 

■チェックポイント
① ×問題の出題元を教科書(または問題集)で見つけます。

f:id:yosh-k:20200508091453j:plain



② ×問題の答えの部分を教科書(または問題集)で見つけます。

f:id:yosh-k:20200508091551j:plain

「失念」は「ど忘れ」のこと。「先生に『覚えてないのか』と聞かれたら、『失念しました』と答えるんだ。何だかエラくなった気がするだろ」と言ったら、生徒たちはクスッと笑っていました。ちょっとしたお遊びです。

 ③ ×問題と類似の教科書(または問題集)問題にリトライします。

f:id:yosh-k:20200508092016j:plain

以上のことはテスト問題の「予想」とコインのオモテとウラの関係にあります。いま取り組んでいることを、次のテストの予想に活かしてください。そのためには毎日の授業と毎日の家庭学習を大事にすることが欠かせません。(テスト1週間前になってから提出のための問題集を必死にしているなんて問題外。これでは本当のテスト勉強ができません。) 

 

急がば回れ
ここでこの内容が登場する所以。

 

■■1年生諸君へ■■
数学の先生からすればとても簡単な単元なんだけど、小学校の算数から見れば大きな「カベ」が2つあります。“負の数”と“文字式”です。“負の数”は1学期中間テストのメイン、そして“文字式”は1学期期末テストのメインです。ここをうまくクリアできないと、数学とともだちにはなれません。算数を教えていた私には、“負の数”を解くきみたちの解答の雑さが気になっています。計算過程の手抜きをせず、教科書にある基本を守ることで、ミスは確実に減らせます。分かっていたのに×ということが減れば、少しずつ自信を持てるようになります。どうか次の“文字式”のカベをうまく越えてください。

 

放課後学習教室の当初から気になっていたのが、生徒たちの「手抜き」です。

「手抜き」というのは、計算の途中を省いたり、ノートの端や問題の上にメモ書きしたりする行為です。小学校ではこんな行為をよしとする教師はまずいないでしょう。ところが、中学校に入った途端、1年生の1学期段階でほとんどの生徒が「手抜き」を始めます。中学校の先生は、それが気にならないようです。

この「手抜き」が夥しい数のミスを生んでいます。小中連携の1つのカギだと思います。

 

f:id:yosh-k:20200508093239j:plain

つまり、頭の中で行う工程(暗算)が同時に複数あるとミスの確率が高まるのです。

計算過程をきちんと書かせることで、確実にミスは減ります。あとは個々人の計算能力と慣れに応じて、省略部分を増やしていけばいいのです。私が見てきた事実として肝に銘じてほしいのは、できない子・苦手な子ほど「手抜き」が多いということです。教師が指導を改めるべきです。