教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

元小学校教員による小中連携授業⑥ 算数の技を数学に活かす(3)

2019年度、地元の中学校の1年生を対象に行った元小学校教員による小中連携授業の記録です。
ゲストティーチャーという位置づけで、総合的な学習の時間のコマを使って年間15回の「授業」を行いました。

第6回 算数の技を数学に活かす(3)

第4回から第6回は、「算数の技を数学に活かす」シリーズです。
放課後学習教室にやってくる生徒たちの様子を見ていて、小学校の学びと中学校の学びのつなぎがスムーズになると感じた3つのポイントを取り上げています。


■暗算の極意

 

ここで「暗算」を取り上げるのは、放課後学習教室に来ていた生徒たちの様子に由来します。文字式や方程式などの計算問題を解く過程で、数の部分を処理する場面があります。前回(2)でも触れましたが、こうした問題の数部分にはそれほど大きな数は出てきません。ところが、それをノートの端に筆算する子が結構います。小学校教師の私から見ても(つまり小学校レベルの計算力があれば)、そこは暗算でやってよねと言いたくなります。

 

この場面で使う算数の「技」は、交換法則、結合法則、分配法則です。これもまた「式が答え」の学習と同様に小学生の頃から苦手な子が多く、教師もさほど指導に熱を入れていないところです。やはり小中連携の課題だと思います。

 

ひとつ説明を加えておかなければなりません。

「計算の過程をきちんと書く」ことを求めていることと、「暗算(=計算過程を省略)」を勧めることの兼ね合いです。

たとえば文字式の問題であれば、符号処理や移項についてはきちんと書くことが大事です。数処理の部分は暗算します。それは、符号処理や移項は中学校での新たな学びであり、数処理は小学校からの長い経験があります。全てを省略するとミスが多発し、全てを書いていると時間の無駄になります。頭の中で複数の処理を同時に行うときに、ミスのリスクが高まります。ミスのリスクを回避しながらも効率を上げる、たどりついたのがこの計算方法です。

 

 

f:id:yosh-k:20200513084253j:plain

 

f:id:yosh-k:20200512133303j:plain

インドの九九表は9の段ではなくて、20の段まであります。そこまでいかないまでも、15までの2乗は覚えさせたいです。これは、2次方程式や因数分解平方根の場面でも役に立ちます。
また、1/8の倍数も覚えておくとなにかと便利です。

ほかにも覚えておけば便利なものはありますが、とりあえずは2つ、小学校で覚えて使えるようにしておきたいです。

 

f:id:yosh-k:20200512134603j:plain

もちろんこれを頭の中で処理します。15×16は、15の2乗+15でもOK。

 

f:id:yosh-k:20200512134905j:plain

f:id:yosh-k:20200512134923j:plain

f:id:yosh-k:20200512134943j:plain

f:id:yosh-k:20200512135003j:plain