2019年度、地元の中学校の1年生を対象に行った元小学校教員による小中連携授業の記録です。
ゲストティーチャーという位置づけで、総合的な学習の時間のコマを使って年間15回の「授業」を行いました。
第4回 算数の技を数学に活かす(1)
第4回から第6回は、「算数の技を数学に活かす」シリーズです。
放課後学習教室にやってくる生徒たちの様子を見ていて、小学校の学びと中学校の学びのつなぎがスムーズになると感じた3つのポイントを取り上げています。
■とにかく分数
小学校ではかけ算は筆算で計算することが基本です。また、わり算も筆算で計算するのが基本です。かけ算の筆算は3年生で、わり算の筆算は4年生で習得します。小数のかけ算・わり算は5年生です。
小学校で分数のかけ算・わり算を学ぶのは、そのあとです。整数と分数が混じった計算は扱いますが、整数どうしの数を分数で計算することは通常はありません。
子どもたちはそうした状態で中学生になります。小学校で身についたかけ算・わり算の「常識」は、中学2年になっても3年になってもほとんど変わりません。
ところが、私が見る限り、中学校の問題に出てくるかけ算・わり算は筆算でやるよりも分数で計算したほうが便利なことが多いのです。
私が分数方式を推奨する理由はいくつかあります。
中学校の計算問題は文字と数が混在しているものがほとんどです。その場合、小学校の計算問題のような大きい数はほとんど出てきません。それをわざわざ筆算で計算している子が多いのですが、時間の無駄です。分数式で約分すれば、ほぼ暗算で解けます。
また、数学の解は分数で表記することが多く、小学校のように小数点以下の計算を求められる場面はそれほどありません。
さらに、分数式で約分すれば数が小さくなり、仮にその後に筆算するにしても数が小さい分だけミスの頻度が減ります。
そんなわけで、かけ算・わり算はとにかく分数の式にして計算することをマスターしてほしいのです。そこで活用するのは、小学校算数で習った「技」です。