教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

日本語探訪(その72) ことわざ「毒を食らわば皿まで」

小学校3・4年生の教科書に登場することわざの第19回は「毒を食らわば皿まで」です。教科書の表記は、「毒をくらわば皿まで」となっています。

 

毒を食らわば皿まで

 

「毒を食らわば皿まで」の読み方

 どくをくらわばさらまで

 

「毒を食らわば皿まで」の意味

いったん罪を犯した以上、もはや後戻りはできないから、ためらうことなく悪に徹せよ、というたとえ。(ことわざを知る辞典)

 

「毒を食らわば皿まで」の使い方

今になって、急にみね代を避けはじめるなど、あまりに私がわがまますぎるようだ。宗珠はうしろめたい気持ちになる。と言って、毒くわば皿までという図太い心になりきることは出来なかった。(丹羽文雄菩提樹』1955年) 

 

「毒を食らわば皿まで」の語源・由来

「毒を食らわば皿まで」の語源・由来については不明です。

江戸時代には、「毒食わば皿舐(ね)ぶれ」などの形で出てきます。

松江重頼『毛吹草(けふきぐさ)』(1638年)
「どくくはゞさらねぶれ」

曲亭馬琴南総里見八犬伝』(1814年~1842年)

「世の諺を引くにあらねど、毒を喰はゞ皿を舐れ」

 

「毒を食らわば皿まで」の蘊蓄

「毒を食らわば皿まで」の類義語

尾を踏まば頭まで
濡れぬ先こそ露をも厭え」(ぬれぬさきこそつゆをもいとえ)…濡れる前は露をさえ厭うが、いったん濡れてしまうと、いくら濡れてもかまわなくなる。一度過ちを犯すと、もっとひどい過ちを平気で犯すようになることのたとえ。