教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

日本語探訪(その103) 慣用句「胸を打つ」

小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第41回は「胸を打つ」です。教科書の表記は「むねを打つ」となっています。

 

胸を打つ

 

「胸を打つ」の読み方

むねをうつ 

 

「胸を打つ」の意味

感嘆する。感動させられる。(広辞苑

 

「胸を打つ」の使い方

勇敢な行動が人々の胸を打つ。 

 

「胸を打つ」の語源・由来

「胸を打つ」の由来は、「胸」「打つ」のもつ意味にあります。 

 「胸」…「 心。思い。心中。」(広辞苑

「打つ」…「強い感動を与える。」 (広辞苑

  

「胸を打つ」の蘊蓄

「胸」(心・思い・心中の意)のつく慣用句

胸が熱くなる(むねがあつくなる)…感動すること。


胸が裂ける(むねがさける)…悲しさや悔しさなどから、耐えられないほどの苦しさを感じるさま。 「胸が張り裂ける」ともいう。


胸がすく(むねがすく)…心につかえていた不平や不満などがなくなり、すっきりとした気分になること。


胸が高鳴る(むねがたかなる)…希望や期待などから、感情が高ぶる様子。


胸が潰れる(むねがつぶれる)…ひどく驚き悲しんで、胸がしめつけられる様子。


胸が詰まる(むねがつまる)…喜びや感動、悲しみなどを感じて、胸が苦しくなる様子。


胸が張り裂ける(むねがはりさける)…悲しさや悔しさなどから、耐えられないほどの苦しさを感じるさま。


胸が塞がる(むねがふさがる)…悲しみや心配、不安などから気持ちが暗くなるさま。


胸に一物(むねにいちもつ)…心中、ひそかにたくらみを持つこと。「腹に一物」ともいう。「腹」は心の中・本心の意。


胸に納める(むねにおさめる)…見たことや聞いたこと、感じたことを誰にも言わずに自分だけの秘密にしておくこと。


胸に刻む(むねにきざむ)…忘れないように心の中にしっかりと留めておくこと。


胸に釘(むねにくぎ)…まるで胸に釘を打たれたように、弱点を突かれてうろたえること。「胸に釘打つ」ともいう。


胸に迫る(むねにせまる)…感銘を受けて、心が満たされること。


胸に畳む(むねにたたむ)…自分だけの秘密にして、顔にも言葉にも出さないこと。 「胸三寸に畳む」ともいう。


胸に秘める(むねにひめる)…他の人には言わずに、心の中に隠しておくこと。


胸拉ぐ(むねひしぐ)…ひどく驚き悲しんで、胸がしめつけられる様子。


胸を痛める(むねをいためる)…一人であれこれと思い悩んだり心配したりすること。


胸を躍らせる(むねをおどらせる)…期待や喜びなどから、わくわくした気持ちになること。


胸を焦がす(むねをこがす)…恋慕の情に苦しむこと。特に、異性に恋焦がれること。


胸を弾ませる(むねをはずませる)…期待や喜びなどから、わくわくした気持ちになること。


胸を膨らませる(むねをふくらませる)…期待や喜びなどから、わくわくした気持ちになること。