教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

きょうは何の日 3月10日

東京大空襲

 

1945(昭和20)年3月10日の未明、米軍の爆撃機B29の空襲を受け、東京の下町が炎に包まれました。第2次世界大戦中、東京は米軍から60回以上の空襲を受けましたが、この日が最悪の被害となったために「東京大空襲」と呼ばれています。

 

東京大空襲・戦災資料センター」のHPより引用します。

1945年3月10日の下町大空襲
 画期になったのは1945年3月10日の下町大空襲です。すでにアメリカ軍は、都市の中で、住宅が密集し人口密度が高い市街地を、焼夷地区1号に指定していました。東京は当時の深川区の北部と本所区浅草区日本橋区の大部分などが焼夷地区1号でした。そこをまず焼夷弾で焼き払う絨毯爆撃が、この日から始まりました。焼夷地区1号の目標地域には、軍施設や軍需工場などの明確な軍事目標はほとんどなく、アメリカ軍の目標となった大きな軍需工場は精工舎や大日本機械業平工場のみで、築地、神田、江東などの市場、東京、上野、両国の駅、総武線隅田川鉄橋などが実際の目標でした。住民を殺戮し、それによって戦争継続の意思をそぐことが、主な目的でした。また、市街地を焼き払うことで、そこにある小さな軍需工場を焼くことも合わせてねらっていました。アメリカ軍は春一番のような大風の吹く3月に焼き払い空襲を開始することを目指して、日本向けの油脂焼夷弾を開発し、B29とともに大量生産をしていきました。
 3月10日の下町大空襲は夜間に低高度から1665トンに上る大量の焼夷弾を投下した空襲でした。目標地域に4か所の爆撃照準点を設定し、そこにまず大型の50キロ焼夷弾を投下しました。これにより、大火災を起こし、日本側の消火活動をまひさせ、その後小型の油脂焼夷弾を投下する目印となる照明の役割を果たしました。
 火災は北風や西風の強風もあって、火災は目標地域をこえて、東や南に広がり、本所区深川区城東区の全域、浅草区神田区日本橋区の大部分、下谷区東部、荒川区南部、向島区南部、江戸川区荒川放水路より西の部分など、下町の大部分を焼き尽くしました。罹災家屋は約27万戸、罹災者は約100万人でした。
 木造家屋の密集地に大量の焼夷弾が投下され、おりからの強風で、大火災となったこと、国民学校の鉄筋校舎、地下室、公園などの避難所も火災に襲われたこと、川が縦横にあって、安全な避難場所に逃げられなかったこと、空襲警報が遅れ、警報より先に空襲が始まり、奇襲となったこと、踏みとどまって消火しろとの指導が徹底されて、火たたき、バケツリレーのような非科学的な消火手段がとられ、火災を消すことができないで、逃げおくれたことなどの要因が重なり、焼死、窒息死、水死、凍死など、9万5000人を超える方が亡くなりました。

 

東京大空襲を語るとき、早乙女勝元さんを外すことはできません。

東京新聞」が早乙女さんの訃報を伝えた記事です。

作家の早乙女勝元さん死去 90歳 東京大空襲体験、ルポがベストセラー 語り部活動ライフワークに
2022年5月11日 06時00分

 10万人が亡くなった東京大空襲を体験した作家で、東京大空襲・戦災資料センター名誉館長の早乙女勝元さんが10日、老衰のため死去した。90歳。東京都出身。葬儀は後日、関係者で行う予定。
 1945年3月10日未明、下町を狙った米軍の東京大空襲に遭い、降り注ぐ焼夷しょうい弾と猛火の中を逃げ惑った。戦後は町工場で働きながら文学を志し、20歳で自分史「下町の故郷」を刊行。ルポルタージュ東京大空襲」がベストセラーとなり、空襲体験の聞き取りと語り部活動がライフワークになった。
 70年、「東京空襲を記録する会」を結成。都民の空襲体験記や米軍資料を集めた同会は「東京大空襲・戦災誌」(全5巻)で菊池寛賞を受賞した。2002年に東京都江東区北砂に開館した「東京大空襲・戦災資料センター」の初代館長に就任。元軍人のような補償がない空襲被害者が国に救済を求めた訴訟では、証人として空襲体験を語った。
 著書に「東京が燃えた日」「下町っ子戦争物語」「アンネ・フランク」「私の東京平和散歩」「東京空襲下の生活日録」「平和のための名言集」など多数。

 

早乙女勝元さんには東京大空襲に関する多くの著作がありますが、2冊紹介します。

東京大空襲: 昭和20年3月10日の記録』岩波新書 –1971/1/28

昭和20年3月10日.一夜のうちに東京の下町一帯を焼け野原に変え,8万人にのぼる死者で街や河を埋めた東京大空襲の惨状――.自身被災者でもある著者が,生きのびた人々を訪ね,戦後25年のあいだ埋もれていた記憶を再現しつつ,無差別絨緞爆撃の非人間性を暴き,庶民にとって戦争とは何であったかを訴える.

                    (「岩波書店」HPより)

 

『絵本 東京大空襲理論社 – 1978/6/1

1945年3月10日,米軍B29の大編隊が東京を襲った。炎の夜の恐怖を,ようやく生きのびた作家と画家が描いたドキュメント。

シリーズ
★絵本, 戦争を考える本
対象
中学年~

                    (「理論社」HPより)