こども読書の日
「こども読書の日」は、2001(平成13)年12月に「子どもの読書活動の推進に関する法律」で制定され、文部科学省が実施しています。
「雑学ネタ帳」より紹介します。
子どもの読書活動についての関心と理解を深め、子どもが積極的に読書活動を行う意欲を高めることが目的。また、活字離れに歯止めをかける狙いもあった。出版社や書店などの団体で構成される公益社団法人・読書推進運動協議会が主催して、図書館などでこの日にイベントが実施される。
これよりも前の2000年(平成12年)を「子ども読書年」とする国会決議を受けて、国をあげて子どもの読書環境整備を支援した経緯がある。4月23日~5月12日までの20日間は「こども読書週間」であり、この日4月23日は国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が定めた「世界図書・著作権デー(世界本の日)」にもなっている。
子どもの読書活動の推進に関する法律
(目的)
(基本理念)
(国の責務)
(地方公共団体の責務)
(事業者の努力)
(保護者の役割)
(関係機関等との連携強化)
(子ども読書活動推進基本計画)
(都道府県子ども読書活動推進計画等)
(子ども読書の日)
(財政上の措置等)
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「子どもの読書活動の推進に関する法律」の第8条に「子ども読書活動推進基本計画」の定めがあります。
2023(令和5)年3月28日に第五次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」が発表されました。
一部を抜粋引用します。
第1章 近年における子どもの読書活動に関する状況等
Ⅲ 子どもの読書活動の現状
小学4年生から高等学校3年生を対象とした、5月における1か月間の平均読書冊数に関する調査によると、推進法が制定された平成 13 年度と令和4年度を比較すると、小学生 6.2 冊から 13.2 冊、中学生 2.1 冊から4.7 冊、高校生 1.1 冊から 1.6 冊と、いずれの学校段階においても読書量は令和4年度の方が多い。第四次基本計画の初年度に当たる平成 30 年度(小学生 9.8 冊、中学生 4.3 冊、高校生 1.3 冊)と比較しても、令和4年度の読書量の方が多い。
第四次基本計画において、1か月に本を1冊も読まない子どもの割合(以下「不読率」という。)について、令和4年度に、小学生2%以下、中学生8%以下、高校生 26%以下とするという目標を掲げた(小学4年生から高校3年生を対象)。これに対し、令和4年度、小学生 6.4%、中学生 18.6%、高校生 51.1%であり、いずれの学校段階でも、数値目標までの改善は図られていない。
別の調査によると、小学生から高校生までの子どもの不読率は、令和2年度末から令和3年度当初に実施された全国一斉臨時休業等を経て、令和元年度の 34.4%から令和3年度には 38.5%まで上昇した。また、令和元年度と令和2年度との比較において、不読率の上昇が他の学年と比較して大きかった学年集団は、令和2年度に小学校2年生、小学校3年生、中学校1年生及び高等学校1年生であり、全国一斉臨時休業が、自宅学習の難しい小学校低学年や、中学校、高等学校に進学した直後の学年の読書習慣の形成に影響を与えたことが示唆されている。同じく、令和元年度から令和2年度において本を読む時間が減少した一方で、漫画や雑誌を読む時間が増加したこと等が指摘されている。
新型コロナウイルスの発生を受け実施された各学校の臨時休業等により、児童生徒による学校図書館へのアクセスが一定期間制限された。また、図書館においても、臨時休館や開館時間の短縮、入館人数の制限等を余儀なくされた。こうした状況が、子どもの読書活動にも影響を与えた可能性がある。
令和元年度から令和3年度、小中学生において、学習意欲が低下する子どもが増加したとの調査報告もあり、読書へ向かう意欲も減退した可能性もある。
自然・文化体験や職業体験等を通じ、事前や事後に関連した図書を読んだり、調べたりするという動機が生まれ、さらには読書活動の結果、更なる体験の実践につながるなど、読書は体験活動と連動する側面もあると考えられるが、コロナ禍における体験活動の機会の減少も不読率と無縁ではないものと考えられる。
国際的な観点からは、令和元年に公表された「OECD 生徒の学習到達度調査」によると、我が国の子どもの読解力の平均得点は、OECD 平均より高得点のグループに位置しているが、前回調査から平均得点が統計的に有意に低下し、OECD 加盟国中 11 位となっている。この結果について、複数の文書や資料から情報を読み取って根拠を明確にして自分の考えを書くこと、テキストや資料自体の質や信ぴょう性を評価することなどに課題があることが指摘されている。
また、我が国を含む OECD 全体の傾向として、本の種類にかかわらず、本を読む頻度は、2009 年と比較して減少傾向にある。OECD 平均と比較すると、我が国の子どもは、フィクション、漫画を読む生徒の割合が高く、新聞、フィクション、ノンフィクション、漫画のいずれも、よく読む生徒の読解力の得点が高い。
第2章 基本的方針
Ⅰ 不読率の低減
子どもの読書活動の意義を踏まえれば、全ての子どもたちが本に接することができるようにすることが重要である。
前述のとおり、子どもの不読率は、第四次基本計画の数値目標を達成していない。不読率の改善に向け、学校図書館に関するオリエンテーション等の学校種間の移行段階に着目した取組、読書に興味のない子どもも親しみやすい講座、体験活動等と連動した取組等の充実に努めること、また、小学校1年生の不読率に就学前の読み聞かせの実施が影響を与えているとの指摘もあり、乳幼児期からの読み聞かせを推進することが重要である。
高校生の不読率は、小学生、中学生に比して、高い状況が続いている。他方、一貫した上昇傾向にあるわけではない。こうした状況を踏まえ、第四次基本計画の基本的な方針を維持し、乳幼児期から中学生までの読書習慣の形成を促すとともに、大人への過渡期にある高校生が読書の必要性を真に感じ、主体的に読書に興味・関心を持てるような取組の推進を図る必要がある。例えば、探究的な学習活動等に当たって、学校図書館や図書館の利活用を促進する取組の充実を図る。また、高校生は、電子書籍を利用した読書経験等、大人に近い部分もあり、大人の不読の分析やその対応との連続性を勘案することも重要である。子どもだけに区切らず、大人も含めての読書活動の推進計画をつくる地方公共団体などもあり、これらの取組の推進を図る必要がある。
「不読率」がどうにも気がかりです。
学校では「朝読書」などさまざまな取り組みがなされていて、なお6.4%。どういうことでしょうか。
この機会に、いい本とのいい出会いを!