教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

教壇に立つ前に ① 漢字をマスターしよう

「教壇に立つ前に」…。そうです、これは新しく小学校教員になって4月から教壇に立とうとしている「教師の卵」のみなさんへのメッセージです。

 

 

しばらく前になりますが、『人は見た目が9割』(竹内一郎新潮新書)という本が出て、結構話題になりました。


「人は見た目じゃない、中身だよ」と反論してみるものの、よくよく我が身を振り返ってみると、第一印象が人物評価に与える影響の大きさを再認識させられてしまいます。

 

 

4月になると子どもたちとの出会いが待っています。そして、その月のうちに参観日があって、保護者との出会いがあります。


子どもとは日々付き合うことになりますから、「中身」の理解も徐々に深まるでしょう。しかし、保護者と出会う場面はそれほど多くはなく、人となりを理解されるほどの付き合いは期待できません。
その一方で、保護者の言葉や態度が年齢の小さな子どもに与える影響は絶大です。


つまり、保護者との出会いである最初の参観日での「見た目」が良くなければ、良好な関係作りには相当なエネルギーを要することになります。

 

 

「見た目」と言うと、髪型や服装のことかと思われるかもしれません。が、私がここで取り上げようとしているのは、板書の漢字です。厳密には漢字の筆順です。


中学校の先生の板書は(と一括りにするのはよくないですが)、概して字形が乱れていて筆順も間違いだらけです。それでも中学生がそれを問題にすることはほとんどありません。


小学校は違います。とりわけ低学年の板書は平仮名を含めて字形が整っていることが大切ですし、筆順も漢字指導の一部ですから子どもも意識しています。当然、保護者も同じ目線で担任教師の板書を見つめています。そこでの筆順間違いは、大きなマイナスポイントになります。

 

 

なんだそんなこと、と軽く見てはいけません。私は家庭訪問の際、「前の担任は漢字も正しく書けない先生で…」という保護者の声を聞いたことがあります。漢字を正しく書けないのは事実でしょう。でも、私は同僚としてのつきあいの中で、その先生の優れた点をいくつも知っています。しかし、保護者は筆順レベルの「見た目」で担任を評価し、それを1年間持ち続けていたわけです。

 

小学校で学習する1026字の漢字を書いてみてください。筆順のチェックには筆順辞典などというスマホアプリもあります。自分は正しく書けると思っていても、覚え間違いや長年染みついたクセのようなものがいくつかあるものです。

漢字の筆順は後々の指導にも役立つものですから、教壇に立つ前に是非とも正しくマスターしておきたいですね。