漢字マスターとあわせてお薦めしたいのが、白川静さんの本。
白川静さんは漢字研究の第一人者で、2006年に亡くなられています。
白川さんには『字訓』『字統』など有名な著書があるのですが、お薦めは
『白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい 』(小山鉄郎著、新潮文庫、2009年)。
入門書としては最適ですし、なにしろ安い(473円)。
目から鱗が落ちるという言葉がありますが、同書との出会いはまさにその言葉通りのものでした。漢字の世界観が変わります。
学校の漢字指導にそのまま使えるというわけではありません。
それでも、たとえば「左」は「一」から書き始め、「右」は「ノ」から書き始めるワケを知っていたら、漢字指導が楽しくなると思いません?
実際、高学年の子どもにも結構好評でした。
蘊蓄(うんちく)を一つ。
上の図は、「左」と「右」の篆書体の文字です。
白川さんによると…
「左」は「一」が手で「ノ」が腕、「右」は「ノ」が手で「一」が腕を表しています。
まず手を書いて、腕を手首から肩に向かって伸ばしていきます。
よって、「左」は「一」から、「右」は「ノ」から書き始めるのです。
ちなみに、「左」の「エ」は呪具を表し、「右」の「口」(これは「クチ」ではなくて「サイ」)は祝詞を入れる器を表しています。
こうした知識は持っていても荷物にはなりません。ぜひご一読を。