教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

同僚を呼ぶ時は「先生」、それとも「さん」

職員室で同僚を呼ぶときは「○○先生」ですか? それとも「○○さん」ですか?

 

大抵の職場ではお互いを「先生」と呼び合っていて、そのことになんら疑問も違和感も持っていないのでしょうね。

 


青年教師だったころ、別の職業の人たちと交流する機会がありました。そのとき、たしか郵便局に勤めている人から、職員室はお互いを先生と呼び合う異様な空間だと言われました。そして、働いている者同士の敬称は「さん」であるべきだと指摘されました。

 

それと同じころ、ある研究大会で学校用務員の男性からこんな発言がありました。
学校では教師も事務員も用務員も子どものために働いている。ところが、教師には「○○先生」、事務員には「事務の先生」と子どもたちに呼ばせているのに、用務員には「○○さん」と呼ばせている。おかしいじゃないか。
男性の発言は、用務員も先生と呼ばせるべきだという問題提起でした。

 

研究大会のあと、聞き及ぶ範囲では2つの反応がありました。

 

ある学校では、「○○先生」「事務の先生」「用務員の先生」「給食(調理員)の先生」といった具合に、学校で働く大人をすべて「先生」と呼ばせることになりました。

 

別の学校では、子どもに直接指導を行う教師を「先生」と呼ばせ、それ以外の間接的に子どもを支えている人たちを「○○さん」と呼ばせることになりました。

 

呼ばせかた改革は真逆の方向に進んだことになります。もとより正解などありません。


私のいた職場は後者の道を選びました。

それに加えて、教員同士も子どものいないところでは「さん」付けで呼び合うように努めました。
もっともこれは若い仲間内にとどまり、年配者には波及しませんでした。

 

学校の常識は世間の非常識なんていうのは結構あるものですが、この「先生」呼称もその1つなのかもしれません。一律に「さん」付けにしましょうなどと言うつもりはありませんが、学校の外からの目で学校を見る視点は大事にしたいものです。