教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

極意伝(4)キャッチコピーの極意

総合の時間などに調べたことをまとめてプレゼンテーションすることもよくあります。

極意伝の第3弾は、プレゼンの「キャッチコピーの極意」です。

 

■キャッチコピーの極意


①相手が知りたい、自分も伝えたい言葉をさがす

CMに限らず、見る人・聞く人に興味・関心をもってもらうことがスタートです。(学校においては、興味も関心もなくても強制的に見せられる・聞かされる時間が設定されるのですが)

人のこころをつかむ言葉とは、「相手が知りたい」言葉であり、「自分が伝えたい」言葉です。


②たくさんの言葉にふれる

「相手が知りたい」言葉、「自分が伝えたい」言葉をうまく紡ぐ術(すべ)は、すぐれたキャッチコピーに数多く触れることです。

 

以下、③④⑤は、言葉を紡ぐ具体的なテクニックです。


③極端な表現で正反対の言葉をならべる


④たくさんの意味をふくんでいる言葉をさがす


⑤具体的な情景がわく言葉をさがす

 

 

私が子どもたちにキャッチコピーを初めて教えたのは、2003年の総合的な学習の時間でした。(総合の活動内容は「総合的な学習の時間とアクティブ・ラーニング」の稿で紹介しています)

収穫した米の使い道を6つのグループがプレゼンで提案し、25kgの米から自分たちの必要な米をゲットする(6提案の要求量は25kgを超えています)という場面設定です。

プレゼン資料は模造紙1枚で、そこにキャッチコピーが書かれています。

 

おにぎりパーティーを提案したグループが2つありました。

1つは、

★「はえぬき」の本当の味が出ておいしい★

というキャッチコピーで、地主さんこだわりの「はえぬき」という品種の米そのものの味を味わうための塩おにぎりを提案しました。

もう1つは、

★親子で食べよう、おいしいおにぎり★

というキャッチコピーで、具材をいろいろ入れて親子で楽しく会食することを提案しました。

おにぎりのために米を獲得するという共通項があることで、ライバルとの違いを際立たせる言葉選びをしています。その結果、自分たちの主張が明確になりました。

おにぎりの2つめのグループに近いのが手巻き寿司グループです。こちらは、

★好きなものを巻いて食べよう★

というキャッチコピーで、親子手巻き寿司パーティーを提案しました。「好きなものを巻いて」食べるという表現は、⑤の「具体的な情景がわく言葉」に近づいているように思います。

5グループが食べる提案をしたのに対して、1グループのみ食料支援の提案をしました。こちらは、

★世界の子どもに食料を★

 というキャッチコピーで、これなどは公共広告機構で使えそうなフレーズになっています。これが④の「たくさんの意味をふくんでいる言葉」というには無理がありますが、内容としては「『世界の子どもに食料を』届けるために、米を家の人に買ってもらって(米を送ると輸送費のほうが高い)、そのお金を食料支援金に使ってもらう」というものでした。