教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

極意伝(5)プレゼンテーションの極意①

極意伝の第4弾は、プレゼンテーションの極意です。「その1」ではプレゼンの資料作成について書きます。

 

■プレゼンテーションの極意(その1 資料作成)

 

①伝える相手のことを知る。

プレゼンテーションは伝えるための手段・方法ですから、伝えたい相手に伝わらなければ意味がありません。ですから、伝える内容が同じだとしても、伝える相手が変われば(クラスメイトなのか、上の学年の子なのか、下の学年の子なのか、保護者なのかetc.)プレゼン資料も変わります。

また、伝える相手がその内容をどの程度知っているのか(まったく知らない、少し知っている、自分ちと同程度に知っている、自分たち以上に知っているetc.)によって、プレゼンの組み立てが違ってきます。


②話の流れは注目・説得・よびかけ

プレゼン資料の構成についてです。

プレゼンの基本的な流れは、「注目」→「説得」→「よびかけ」です。これは、スピーチの構成と共通しています。

・注目 まずは相手をプレゼン内容に惹きつけます。そのためにキャッチコピーが大きな役割を果たすことになります。

説明文の「三段構成」でいうと「はじめ」にあたります。話題提示・問題提起を行います。

・説得 プレゼンで伝えたいことの核心部分です。

「三段構成」の「なか」にあたります。分かりやすいプレゼンにするには、スライドの総数を決めておくもの有効です。たとえば6枚であれば、「なか」部分で4枚、8枚であれば「なか」部分で6枚が基準になります。

・よびかけ プレゼンのまとめをします。

「三段構成」の「おわり」にあたります。まとめ(結論・主張)とともによびかけ(行動提起、行動提示、勧誘etc.)をします。


③写真をしぼり、印象に残ることばを

子どものプレゼンに限らず教師が作ったプレゼンにおいても、情報量の多過ぎが目立ちます。
模造紙でのプレゼンが主流だったころ、探してきた資料を長々と書き写す子どもがいました。ひどいのになると、自分が読めない、意味が分からない熟語をそのまま写していました。
パソコンやタブレットで資料を作成するようになって、事態は改善したのでしょうか。コピペで資料の引用が容易になって、長々した説明と難しい熟語の多用はますますひどくなったように感じます。
加えて、写真や動画を簡単に貼れるものですから、こちらは多用どころか乱用といった状態です。

 

プレゼン資料作成のポイントは、

写真は、伝えたいメッセージが分かるものだけ。

スライドの総数に応じて、使ってもいい写真の枚数を制限しておいてもいいです。同時に、メッセージが伝わる写真撮影を指導することも大事です。

話して伝えることは資料に書かずに、印象に残る短い言葉だけを書く。

文章そのものを提示する必要がある場合を除いて、プレゼンに「文」は御法度と考えましょう。短いフレーズの箇条書き、できればキーワードで書くようにします。国語の要点をまとめる力やキーワードを見つける力が生きてきます。

 


④見やすくするために気を配る

使う色、文字や写真の大きさ、向き

さらに、伝える相手に応じて漢字・かなの使い分け、漢語・和語の使い分けなども有用です。