教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

元小学校教員による小中連携授業① 「算数」から「数学」へ

2019年度、地元の中学校の1年生を対象に行った元小学校教員による小中連携授業の記録です。

ゲストティーチャーという位置づけで、総合的な学習の時間のコマを使って年間15回の「授業」を行いました。

 

 

第1回 「算数」から「数学」へ

 

第1回は5月の連休明けに実施しました。

初回は、小学校の学びから中学校の学びへの移行をスムーズに行うための意識改革をテーマにしています。

 

■「算数」と「数学」は同じ?違う?

 

「国語」や「社会」「理科」と違って小中で名称が異なる数学を取り上げ、中学校の学びを説明しました。

教室で使ったプレゼンのスライドを紹介します。

 

f:id:yosh-k:20200506101812j:plain

f:id:yosh-k:20200506101849j:plain


名称の違いは、めざす力のちがいや扱う世界のちがいによることを説きました。そして、負の数や文字式という抽象的架空の世界にうまく入っていければ「数学」は数を楽しむ「数楽」になるし、それができなければ数が苦しい「数が苦」になると結びました。

 

 

■「小爺的勉学術極意法」

 

初回の後半では、勉強法について話しました。

これは、前年度の放課後学習教室開講時に配ったプリントがベースになっています。2年間、放課後学習教室に参加する子を見ていて気になっていたことをまとめたものです。

プリントの文章とプレゼンのスライドを掲載します。

 

「小爺的勉学術極意法」大公開の巻

 学びのカタチは百人百様、余計なお世話と言われそうだが、放課後学習2年間の蘊蓄を詰め込んだ「小爺的勉学術極意法」(これを「おじさん勉強法」と読む)を紹介しよう。興味を持ったら採り入れて試してほしい。

 

■授業の要(かなめ)は「ノートづくり」にあり
 先生の板書を丸写ししただけのノートはNG。1時間の授業には必ず中心課題がある。それが分かるノートを作ることが大事なんだ。それは、教科書に太字で書かれた言葉かもしれない。英語の新しく出合う文法かもしれない。数学の定義かもしれない。さまざまではあるが、それらは「初対面」の課題という共通点がある。
 赤や青のペンで書く。マーカーで目立たせる。吹き出しを作って「これ大事」とか書き入れる。計算間違いを消さずに訂正し、「ミスに注意」などと朱書する。……こうして1時間の授業のエッセンスをノートに残していく。きみのオリジナル参考書であり、財産だ。

 

f:id:yosh-k:20200506103803j:plain

 

■家庭学習の習慣が学力アップのカギ
 家庭学習でもっとも大事なことは、それが習慣になるということだ。40度の熱は仕方ないが、部活で疲れたからやめというのは絶対NG。
 毎日やることの1つは、復習。特に数学と英語は欠かさないこと。どちらも学校で使っている問題集を活用すればよい。その日の授業内容を確実に理解し、自分のものとして定着させるためには繰り返しのドリル学習が有効だ。分からない時は教科書に戻るべし。漢字ドリルは、1日に1字を5回書くよりも、5字を1回ずつ5日書く方が意味のある練習になると私は思う。社会や理科などは、週に1回だけ曜日を決めて問題集を使って復習すればいいだろう。
 毎日やることのもう1つは、予習。これは次の日の学習内容をザックリと見る程度でいい。ただし、英語や国語の新出単語・語句の意味くらいは調べておくのが学ぶ者の常識というものだ(と、おじさんが子どものころ言われた)。

 

f:id:yosh-k:20200506103927j:plain

定期テスト対策は日々行うべし

中学校のテストは範囲が広い。テスト1週間前になって突然あわてるなかれ、定期テスト対策は日々行うべし。
 まず、学校で使っている問題集を有効活用しよう。単元が終わったら、必ずまとめのページをやってしまおう。これは毎日の家庭学習にプラスしてもいいし、土日や部活のない日を使ってもいい。
 テスト1週間前からの直前準備には、ノートを活用しよう。毎日の授業のエッセンスが詰まったオリジナルノートは、短時間で要点をつかむ必須アイテムだ(これは高校受験の勉強でも活用できる)。問題集は、間違えた問題や分からなかった問題に的を絞って復習すればいい。そしてテスト前日には、ここが出そうだとテスト問題が予想できるようになればGOODだ。見事当たればHAPPYな気分になるし、自信にもなる。

 

f:id:yosh-k:20200506104245j:plain