教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

文章の要旨をとらえる(5年 国語)④

「言葉の意味が分かること」の要旨をとらえる(その2)

 

いよいよ要旨をまとめるのですが、なかなかの難題です。

 

難題1 段落の要点を取り出すのが難しい

難題2 要旨をまとめる際に「150字以内」という字数制限が設けられている

 

 

まず、「はじめ」と「おわり」の段落の要点をまとめます。

 

「はじめ」①段落

4文省略

「言葉の意味が分かる」ことは、あなたが思う以上におく深いことです。なぜなら、言葉の意味には広がりがあるからです。このことを知っておくことは、言葉を学ぶときに役立ち、ふだん使っている言葉やものの見方を見直すことにもつながります。

《要点》

中心文は「「言葉の意味が分かる」ことは、あなたが思う以上におく深いことです。」でしょうが、これをもって段落の要点とするには役不足です。あとの2文も加えます。

「言葉の意味が分かる」ことは、おく深いことだ。なぜなら、言葉の意味には広がりがあるからだ。このことを知っておくことは、言葉を学ぶときに役立ち、ふだん使っている言葉やものの見方を見直すことにもつながる。

 

「おわり」⑪・⑫段落

⑪段落

2文省略

しかし、言葉の意味には広がりがあり、言葉を適切に使うためには、そのはんいを理解する必要がありますつまり母語でも外国語でも、言葉を学んでいくときには、言葉の意味を「面」として理解することが大切なのです

《要点》

言葉の意味には広がりがあり、言葉を適切に使うためには、そのはんいを理解する必要がある。つまり、言葉を学んでいくときには、言葉の意味を「面」として理解することが大切だ。

⑫段落

さらに言葉の意味を「面」として考えることは、ふだん使っている言葉や、ものの見方を見直すことにもつながります

2文省略

これらの例は、知らず知らずのうちに使い分けている言葉を見直すきっかけとなります。そしてわたしたちが自然だと思っているものの見方が、決して当たり前ではないことにも気づかせてくれます

3文省略

《要点》

さらに、言葉の意味を「面」として考えることは、ふだん使っている言葉や、ものの見方を見直すことにもつながる。そして、わたしたちが自然だと思っているものの見方が、決して当たり前ではないことにも気づかせてくれる。

 

要旨をまとめます。

「言葉の意味」が話題で、「分かる」「広がり」「面」という言葉も外せません。

「はじめ」と「おわり」の段落の要点を使います。

「文章の要旨を百五十字以内でまとめよう。」という字数制限があります。

 

「言葉の意味が分かる」ことは、おく深いことだ。なぜなら、言葉の意味には広がりがあるからだ。言葉を学んでいくときには、言葉の意味を「面」として理解することが大切だ。さらに、言葉の意味を「面」として考えることは、ふだん使っている言葉や、ものの見方を見直すことにもつながる。

これで134字です。

①の「このことを知っておくことは、言葉を学ぶときに役立ち、ふだん使っている言葉やものの見方を見直すことにもつながる。」は⑪⑫に出てくるので省略です。⑫の「そして、わたしたちが自然だと思っているものの見方が、決して当たり前ではないことにも気づかせてくれる。」も省いています。

これだと150字以内に整えるのは容易です。

 

⑫の「そして、わたしたちが自然だと思っているものの見方が、決して当たり前ではないことにも気づかせてくれる。」を加えてみます。

「言葉の意味が分かる」ことは、おく深いことだ。なぜなら、言葉の意味には広がりがあるからだ。言葉を学んでいくときには、言葉の意味を「面」として理解することが大切だ。さらに、言葉の意味を「面」として考えることは、ふだん使っている言葉や、ものの見方を見直すことにもつながる。そして、わたしたちが自然だと思っているものの見方が、決して当たり前ではないことにも気づかせてくれる。

これだと184字です。

34字以上の削減が必要です。挑戦してみます。

「言葉の意味が分かる」ことは、言葉の意味には広がりがあるのでおく深いことだ。言葉を学ぶときには、言葉の意味を「面」として理解することが大切になる。そのことは、ふだん使っている言葉や、ものの見方を見直すことにもつながり、自然だと思っているものの見方が、決して当たり前ではないことにも気づかせてくれる。

149字になりました。

 

唯一絶対の正解なんてあるようなないような。「主体的で深い学び」のためには許容の幅が必要です。外してはならないポイント(話題、キーワード、キーセンテンス)さえ押さえられていれば、それでいいと私は思います。