私は現在、地元の小学校と中学校でコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の委員をしています。
今年度はコロナ禍の影響で、どちらの学校運営協議会も開店休業状態が続いていました。
先月、小学校の協議会の初会合があり、全クラスの授業を見せていただきました。
コロナ対策の一環で、先生たちはマスクを着けて飛沫の拡散を防ぎながら授業をされていました。これは、全国どこの学校でもそうなんだろうと思います。
しかし、これってどうなんでしょう。
実際の現場を見て、とても気になりました。
まず、先生の言葉が聞き取りにくいのです。それぞれの先生の声の大きさや声の質によって違いはありますが、一部の先生については語尾がほとんど聞こえてこない状況でした。これは何とかしなければなりません。
ごく一部の先生は、マスクではなくマウスシールド(マウスガード)を使っておられました。
マウスシールドを着けて授業をしている先生の声は、マスクの先生の声と比べて明らかにクリアです。
フェイスシールドやマウスシールドは飛沫拡散防止の観点からは、「マスクに比べて効果が少ない、弱いということは言える」(新型コロナウイルス対策分科会・尾身茂会長)ようです。
しかし、感染防止対策は飛沫対策だけではありません。他の予防や対策と併せて用いれば、リスクを上回る効果が期待できます。
もう1つ気になったのは、先生の表情が見えないのです。
乳児保育の場において、保育士の表情が見えないことが乳児に与えるマイナスの影響については、コロナ禍の早い時期に報道されていました。
しかしそれは乳児に限ったことではないようです。
教師の授業は、話し言葉そのものと声の表情と顔の表情を総合した「ことば」で伝えられるものです。
マスク越しの授業では、「話し言葉そのもの」が伝わりにくいと先ほど書きました。
それに加えて、マスク越しの授業では、「声の表情」が無機質に感じます。
さらに、「顔の表情」に至っては、ほぼ完全に見えません。
これは、低学年の授業では致命的な問題だと私は思います。
問題は低学年にとどまりません。
別の学校の高学年の話では、座席が後ろの児童のテストの点数が低くなる傾向が続いているというのです。
物理的に声が届きにくいということも考えられますが、マスクを着けた先生の口元に集中しなくなった結果、後ろに行くほど授業への集中度が落ちているのではないかと推察していました。
推察を科学的に証明する労よりも、懸念があるならよりベターな方策を採るべきです。
新型コロナとの付き合いはまだまだ続きそうです。
マスク越しの授業の影響についても、真剣に向き合ってほしいです。