教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

日本語探訪(その13) 慣用句「油を売る」

小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第4回は「油を売る」です。

 

 

油を売る

 

「油を売る」の読み方

 あぶらをうる

 

「油を売る」の意味

(江戸時代、婦女に髪油を売る者が、ゆっくりと話し込んで商売をしたからいう)無駄話に時を過ごす。また、用事の途中で時間をつぶす。(広辞苑

  

「油を売る」の使い方

「また油を売っている。少しは真面目に仕事に集中したらどうか」 

 

「油を売る」の語源・由来

マイナビウーマン」に掲載されている国語講師・吉田裕子さんの解説を紹介します。

「油を売る」という慣用句、由来は江戸時代にさかのぼります。
ここでいう「油」は「髪油」のこと。主として女性が、艶出しや髪の保護のために髪に付けていた液状の油(水油)のことをいいます。
当時は、桶を担いだ行商人が町を回って髪油を売っていました。桶からひしゃくで量って、客の家にある器に移します。

(引用者注:当時の油は今の油とは違って粘度が高く、柄杓から客の器に注ぐときになかなか途切れなかったようです。)
その滴が途切れるまでの間に、商人と女性客はたわいもない会話をしたわけです。
油売りは商売に励んでいるだけなのですが、はたから見れば、女性客相手に長々と世間話をしているわけで、楽しくサボっているように見えたわけです。
そこで、無駄話で時間をつぶすことを「油を売る」と言うようになりました。 

 

「油を売る」の蘊蓄

「油を売る」の類語

道草を食う
寄り道をする
横道にそれる

 

「油」のつく慣用句
油が切れる
脂が乗る
油を絞る
油を注ぐ
油紙に火の付いたよう
油に水
油を流したよう
火に油を注ぐ
鳶に油揚げをさらわれる