教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

日本語探訪(その67) 慣用句「喉から手が出る」

小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第25回は「喉から手が出る」です。教科書の表記は、「のどから手が出る」となっています。

  

喉から手が出る

 

「喉から手が出る」の読み方

 のどからてがでる

 

「喉から手が出る」の意味

欲しくてたまらないたとえ。(広辞苑

 

「喉から手が出る」の使い方

 喉から手が出るほど欲しい。

 

「喉から手が出る」の語源・由来

「喉から手が出る」の由来は、明確な出所はありません。

元々は、飢餓や空腹で食べ物や飲み物が欲しくてたまらない時に、喉の奥から手が出てきて食べ物を掴んでしまいそうなほど食べ物や飲み物が欲しい様子を表現したことばと言われています。 

 

「喉から手が出る」の蘊蓄

「喉から手が出る」の類義語

「垂涎」

「垂涎」の読み方

すいぜん

(慣用読み)すいえん

※慣用読みとは、「誤読」などにより本来とは異なる読み方が、広く用いられ定着した読み方のことです。間違いではありません。

「垂涎」の意味

①食物を欲しがってよだれをたらすこと。
②あるものを非常に強くほしがること。(広辞苑

①は、まさに「喉から手が出る」の元々の意味です。

「垂涎」の使い方

①の意味で

「葛粉団子(くずこだんご)と山芋汁は、其名既に山村美食家の垂涎を曳きぬ」(宮崎湖処子『帰省』1890年)

②の意味で

「人形の着物にばかり眼をつけてさっきからしきりに垂涎している」(谷崎潤一郎『蓼喰ふ虫』1928~29年)