小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第5回は「息を殺す」です。
息を殺す
「息を殺す」の読み方
いきをころす
「息を殺す」の意味
息をおさえて音をたてないようにする。(広辞苑)
「息を殺す」の使い方
「息を殺してじっと隠れている」
※「息を殺す」は強い緊張状態を表すため、どんな場面でも使える言葉ではありません。
「息を殺す」の語源・由来
「ビズキャリ」に掲載されている「息を殺す」の由来です。
人間を含め動物は、緊張すると動機が速まります。そうすると心臓が多くの酸素を必要とするため、呼吸が速くなります。
しかし、呼吸が速くなったことによって、荒い息遣いが捕食者や敵の耳に届き、自分の位置がばれてしまいかねません。
そのため緊張状態で息が荒くなり、けれど相手に見つかっては困るという場合、自然と呼吸の音を抑えることになります。これが「息を殺す」という言葉が使われ始めた由来です。
「息」に関する慣用句は数多くあります。「息を呑む」「息が合う」「息が詰まる」などです。呼吸というのはそれだけ人間にとって身近なもので、心情表現に適しているということでしょう。
「殺す」には次の意味があります。(広辞苑)
①生命を絶つ。命を取る。崇神紀「大き戸よりうかがひて―・さむとすらくを」
②おさえつけて勢いをそぐ。おさえて活動させない。「息を―・す」「才能を―・す」
③勝負事で、相手の攻撃力を押さえこむ。「腕かいなを―・す」
④野球で、アウトにする。「走者を―・す」
⑤(俗語)質に入れる。黄表紙、不物好持たが病「脇差をまげ、夜着を―・してのちは外に才覚の仕方なく」
⑥相手を悩殺する。洒落本、夜半の茶漬「女郎を―・す秘密の伝は」。「目で―・す」
「息を抑える」ではなく「息を殺す」と表現することで、緊張状態のリアリティーが増しています。
「息を殺す」の蘊蓄
息につく慣用句も数多くあります。
息が合う
息が掛かる
息が通う
息が切れる
息が続く
息が詰まる
息が長い
息白し
息つく
息の根を止める
息もつかせず
息を入れる
息を凝らす
息を継ぐ
息を詰める
息を抜く
息を呑む
息を潜める
息を吹き返す
息を弾ませる