小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第14回は「借りてきた猫」です。教科書の表記は、「借りてきたねこ」となっています。
借りてきた猫
「借りてきた猫」の読み方
かりてきたねこ
「借りてきた猫」の意味
ふだんと違って、非常におとなしいありさまの形容。(デジタル大辞泉)
「借りてきた猫」の使い方
うちではあんなにうるさい子どもたちが、今日は借りてきた猫のようにおとなしい
※「借りてきた猫」という表現には、すでに「いつもと違っておとなしい」というニュアンスが含まれていますが、会話では「借りてきた猫のようにおとなしい」として使うことも (二重表現)、慣習的に許容となっています。
「借りてきた猫」の語源・由来
「言葉の手帳」から引きます。
猫は環境の変化を嫌う動物で、自分のなわばり以外の場所では不安や緊張を感じておとなしいという性質があります。飛鳥時代や奈良時代に貴重品や経典が船で運ばれてくるのですが、ネズミの被害が多いため猫を船に乗せてネズミの駆除をしていました。江戸時代初期は猫が貴重な存在で、ネズミの被害に悩む家庭が「猫を貸してくれないか?」と依頼することも多かったのですが、「借りてきた猫」は肝心のネズミ捕りの仕事もせずにまったくおとなしかった。というエピソードからことわざとして定着した由来と言われています。
「借りてきた猫」の蘊蓄
「借りてきた猫」と「猫を被る」
「借りてきた猫」…ふだんと違って、非常におとなしいありさまの形容。
「猫を被る」…うわべをおとなしく見せかける。
どちらも「おとなしい」という点では共通していますが、「猫を被る」は「意図的に」というニュアンスがある点で異なります。
ちなみに、「借りてきた猫」の類義語は「内弁慶」です。