教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

日本語探訪(その76) 慣用句「骨を惜しむ」

小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第30回は「骨を惜しむ」です。教科書の表記は、「ほねをおしむ」となっています。

  

骨を惜しむ

 

「骨を惜しむ」の読み方

 ほねをおしむ

 

「骨を惜しむ」の意味

労苦をいとう。骨惜しみをする。骨を盗む。(広辞苑

 

「骨を惜しむ」の使い方

「父に、何事にも骨を惜しむなと言われた」 

 

「骨を惜しむ」の語源・由来

「骨を惜しむ」の語源・由来については不明です。

 

 「骨」には、「ほねのおれること。労苦。困難。」(広辞苑)という意味があります。「労苦を惜しむ」ということから、苦労・労苦を嫌がって仕事などを怠けることを表します。

 

「骨を惜しむ」の蘊蓄

「骨を惜しむ」と「骨身を惜しまない」

この場合の「骨」と「骨身」は、どちらも「労苦」という意味です。

「骨を惜しむ」は「労苦をいとう」です。「骨惜しみする」とも言います。

「骨を惜しまない」と使えば、「労苦をいとわない」という意味になります。

「骨身を惜しまない」は「労苦をいとわない」ことで、「骨を惜しまない」と同じです。

それでは、「骨身を惜しむ」は「骨を惜しむ」と同義かと思いきや…。

「骨身」は「惜しまない」と使いますが、「惜しむ」という使い方はしません。「骨身を惜しむ」という言葉はないのです。

 

「サボる」

よく使う「サボる」は、「骨を惜しむ」の類義語です。

「サボる」は、カタカナ表記から分かるように、外来語です。もとの言葉は、「サボタージュ(sabotage)」というフランス語です。

サボタージュはフランス語で破壊行為を意味します。元々の言葉は安価な木靴を意味するサボであり、産業革命によって失業した労働者が履いていたサボと引っかけて「物事を壊す」「仕事を失う」意味で使われていました。やがて、労働争議の一環として行われる機械設備の破壊行為をサボタージュと称するようになり、そこから更に怠ける行為が加わりました。

 

「骨休」

「骨休(ほねやすめ)」とは、「仕事のあいまにからだをやすめること。休息すること。休養。ほねやすみ。」(広辞苑)です。

「骨」=「ほねのおれること。労苦。困難。」を休むわけです。

「骨を惜しむ」のとは、根本的に違います。