教育逍遙 -小学校教育の小径をそぞろ歩き-

小学校教員として歩んできた小径が、若い仲間のみなさんの道標になることを願って…。

森と湖と実りの大地から ~北海道キャンプ旅行の記録~ ⑧

北海道キャンプ旅行 出発から9日目

1991年8月2日(金)

 
 キャンプ場で雨の朝を迎えた。一路、納沙布岬へと向かう。ここは夏は海霧に隠れることが多く、過去2回いずれも霧笛を聞いて帰った。ところが雨が幸いして、半島の先端がはっきりと見えた。見えない時には恐怖感があったが、意外と歩いて下りられそうなところだった。海上はかすんでいて、貝殻島は望めなかった。食堂で昼食をとり、冷えた体を温める。

※(補足)納沙布(のさっぷ)は、アイヌ語の「のツ+さム」(岬+そば)に由来します。岬の傍らにあったアイヌコタンの集落名が岬の名前になりました。

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納沙布岬


 日本最東端の地を後に、半島の北の道を通って根室へ戻った。途中の北方原生花園はいつ来ても寂しい。根室では北方資料館へ寄ってみた。条約や外交文書、古地図が展示されていて、それなりに意味がある。もっとも北方領土返還運動一色のこの町は、どこか異様で、ヒステリックにさえ感じる。外は土砂降りの雨。

※(補足)「ねむろ北方資料館」は、北海道立北方四島交流センターの2階にある「北方資料館展示室」に移っているようです。

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江戸時代の古地図・樺太

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江戸時代の古地図・北方4島

資料館に展示されている江戸時代の古地図はなかなか興味深いものです。

未知なる樺太が太く圧縮された形で描かれています。一方、千島列島(北方4島)はとても精緻に描かれています。


 根室から霧多布を目指して走る。途中、ログハウスのメッカだという「厚浜木材加工協同組合」を訪れたが、大きな工場という感じで、何も得るものはなかった。浜中の町に戻って「赤いポスト」という喫茶店へ行った。かの組合が手始めに作ったログハウスらしい。なぜか大阪の女性が働いていた。


 しばらく休憩のあと、浜中観光ホテルを訪れた。名物の牛乳風呂に入るためである。450円(子ども150円)で入れてくれる。案外さらっとしていて気持ちがいい。浴場の牧場風景を描いた壁画タイルものどかな気分を盛り上げてくれた。

※(補足)牛乳風呂が有名だった浜中観光ホテルは、既に廃業しています。


 ここからわずかのところにムツゴロウの動物王国がある。残念ながら見学させてくれない。

※(補足)浜中町ムツゴロウ動物王国は1972年に「建国」されました。当時も今も一般公開はされていません。ショップで買い求めた動物王国の掛け時計は、今も正確に時を刻んでいます。


 霧多布大橋を渡って岬へ向かう。灯台のすぐ近くにキャンプ場がある。ここの魅力は何と言っても410円で借りられるバンガロー。小雨と霧にけぶるキャンプ場はとにかく寒かった。受付のおじさんが、ストーブを炊いていた。強風と絶え間なく鳴りひびく霧笛が、何となく恐怖感を募らせる。雨風の中でのバンガローはありがたかった。ただし、電灯がないので、ランタンの明かりに頼るしかない。夕飯は霧多布の町へ出てラーメンを食べた。こんな日は早く寝るに限る。

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霧多布岬キャンプ場

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パンがロー

※(補足)霧多布岬キャンプ場のバンガローは、今も健在です。さすがに410円では借りられません。1760円です。バンガローには、電源、照明設備、寝具等一切ありません。無料のサイトにテントを張ってもいいのですが、この場所にはこのバンガローがとてもお似合いな気がします。