小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第34回は「水を得た魚」です。教科書の表記は、「水をえた魚」となっています。
水を得た魚
「水を得た魚」の読み方
みずをえたうお
※「みずをえたさかな」は読み間違いです。
「水を得た魚のよう」の意味
自由に活動できる場を得て生き生きとしているさま。うおの水を得たるが如し。(広辞苑)
「水を得た魚」の使い方
夫が見た通り浩子は賢い。才能がある。だから水を得た魚のように活躍の場が広がっていく。(阿刀田高『すきま風』1999年)
「水を得た魚」の語源・由来
「水を得た魚」の語源は、『三国志』にあります。
武将・劉備(りゅうび)と軍師・諸葛亮孔明(しょかつりょうこうめい)の密な関係を、古株の関羽(かんう)と張飛(ちょうひ)が嘆きます。
その嘆きに対し劉備は「わたしと孔明は魚と水のように切り離せない仲だから、不満を口にしないでくれ」と言ったのです。
そのやりとりから、魚は水があれば本来の力を発揮できるとして「適した環境で生き生きと活躍する」という意味で使われるようになりました。
先主遂詣亮。
凡三往反乃見。
因屛人與計事善之。
於是情好日密。
関羽張飛等不悦。
先主曰、
「孤之有孔明、猶魚之有水也。
願勿復言。」
及称尊号、以亮為丞相。
【書き下し文】
先主遂に亮に詣(いた)る。
凡(およ)そ三たび往きて乃ち見る。
因りて人を屏(しりぞ)けて与(とも)に事を計り之を善しとす。
是(ここ)に於いて情好日に密なり。
関羽・張飛等悦(よろこ)ばず。
先主曰はく、
「孤(こ)の孔明有るは、猶ほ魚の水有るがごときなり。
願はくは復た言う勿(な)かれ。」と。
尊号を称するに及び、亮を以て丞相と為す。
【現代語訳】
先主(劉備)はこうして、亮に会いに行きました。
三回出向いてようやく会うことができました。
そこで周囲の者を退けて、一緒に天下のことを話し合い、(劉備は)これ(亮の意見)を善しとしました。
こうやって(二人は)日を増すごとに親密になっていきました。
関羽と張飛らはこれをよくは思いませんでした。
先主(劉備)が言いました。
「私に孔明がついているのは、あたかも魚に水があるようなものだ。
頼むから(文句を)二度と言わないでほしい。」と。
(劉備が皇帝の)称号を得ると、亮を丞相に任命しました。
「水を得た魚」の蘊蓄
「水を得た魚」の類義語
魚の水を得たるが如し
「水を得た魚」の対義語
陸へ上がった河童(おかへあがったかっぱ)