小学校3・4年生の教科書に登場する慣用句の第37回は「虫の知らせ」です。
虫の知らせ
「虫の知らせ」の読み方
むしのしらせ
「虫の知らせ」の意味
何の根拠もないが、何となくそのような気がすること。予感がすること。(広辞苑)
「虫の知らせ」の使い方
「氷川から来た子と名ざしよふしたも、大かた虫のしらせだろう」(洒落本・真女意題、1781年)
「虫の知らせ」の語源・由来
「虫の知らせ」の語源について、「セレスティア358」に掲載された「虫の知らせについて知ろう。その意味や由来、スピリチュアルなメッセージの実体験5つを紹介!」の一部を引用して紹介します。
「虫の知らせ」の意味とは?
虫の知らせとは、一種の予知能力やテレパシーによって、良くないことが起こる前触れを感じることです。人間には、五感「視覚」、「聴覚」、「嗅覚」、「味覚」、「触覚」が備わっていますが、虫の知らせは、そのどれでもない第六感が働くと言います。予感やインスピレーションを感じる第六感の中でも、虫の知らせは不吉な感覚に分類されます。
「虫の知らせ」の語源・由来
虫の知らせの語源や由来には、諸説ありますが、一般的には2種類に大別されます。1:中国の道教が由来となった説:体内に生まれてから3匹の虫が住んでおり、その虫が体内を監視し、悪い行いを天帝に報告しているという説です。この体内に住み着いた虫達が知らせるものが虫の知らせとされます。
2:江戸時代の虫が由来となった説:江戸時代には、人間の体内には9匹の虫が住み着いているとされていました。虫は監視するのではなく、コントロールすることで、意識にも影響を及ぼしているという説です。目に見えない、もしくは耳で聴こえない、不思議な予感や現象を、体内にいる虫の仕業としたのが由来です。
どちらの説も、語源は体内にいたという虫からのメッセージです。体内に虫がいるという発想が、違う国同士であるのは不思議ですが、昔から虫と人間の間には密接な関係があった証とも言えます。
「虫の知らせ」の蘊蓄
「虫の知らせ」はなぜ起きるのか
『PRESIDENT』 2013年12月2日号に掲載された、脳科学者・茂木健一郎さんの文章の一部です。
複雑な対象についてデータを集め、統計的に傾向を見る。「ビッグデータ」の下での現代のビジネスにとっては欠かせない方法論である。
このような顧客は、次にこんな商品を買う確率が高い。あるいは、特定の家族構成の人は、こんなサービスを必要としている。そのような統計的な傾向は、ビジネスにとっての貴重なヒントとなる。
脳は、もともと、環境について統計的な推理をしている。確実にわかるわけではない場合にも、生きる上で必要な情報を拾ってくるのだ。
出張先で、どの店に入ろうかとあれこれと探しているときも、結局は統計的な推理をしている。このような店構えのレストランでは、こんなサービスを受けられるだろうと、過去の経験というデータに照らして、推測しているのだ。
人間の脳は、大量の言葉にできない情報を得て、そこから推理をしている。「第六感」とか、「虫の知らせ」と呼ばれるのは、このような脳の無意識の情報処理の結果である。
「虫の知らせ」の「虫」と同義の「虫」が出てくる慣用句
「虫が好かない」(むしがすかない)…何となく気にくわない。虫が嫌う。
「虫の居所が悪い」(むしのいどころがわるい)…普段は気にしないようなわずかな物事が気にさわり、怒りっぽい状態にある。
「腹の虫が治まらない」(はらのむしがおさまらない)…どうしようもなく腹が立つ、怒りが込みあげてくる、立腹してやまない、などの意味の表現。